【令和8年度】東京都「女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業」とは?対象者・助成額・申請方法を解説
女性特有の健康課題は、これまで個人の悩みとして捉えられることが少なくありませんでした。しかし近年では、月経やPMS、更年期、不妊治療などによる離職や生産性低下が企業経営や社会全体に与える影響が注目されています。
こうした課題の解決につながる製品やサービスとして期待されているのが、テクノロジーで女性の健康を支える「フェムテック」です。
東京都では、女性の健康課題解決に資する製品・サービスの開発や普及を支援するため、「女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業」の公募を実施しています。最大2,350万円の助成が受けられる本事業は、フェムテック市場への参入や事業拡大を目指す事業者にとって大きなチャンスです。
本コラムでは、令和8年度事業の概要、対象者、助成内容、申請スケジュールなどを分かりやすく解説します。
女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業とは
東京都(公益財団法人 東京都中小企業振興公社)が実施する助成事業であり、女性特有の健康課題の解決につながる製品・サービスの開発や改良、そして社会への普及促進を一体的に支援する制度です。
フェムテック市場の拡大と社会実装を促進し、すべての女性がライフステージに応じて生き生きと働き続けられる環境づくりを目指しています。
なぜ東京都はフェムテック開発を支援するのか
女性の健康課題は個人の問題だけではない
月経、PMS、更年期症状、不妊治療、産後ケア、婦人科系疾患などの健康課題は、働く女性のキャリア形成や就業継続に大きな影響を与えます。近年では、これらを「個人の我慢や問題」とするのではなく、企業の生産性向上や優秀な人材の確保、ひいては社会全体の経済損失を防ぐための「重要な社会課題」として捉える動きが広がっています。
フェムテック市場への期待が高まっている
働き方改革やダイバーシティ(多様性)の推進に伴い、女性の健康課題をテクノロジーで解決するフェムテック市場は世界的に急拡大しています。東京都はこうした先進的な分野への挑戦を資金面・環境面からバックアップすることで、都内から新たな産業を創出し、社会全体の女性活躍を力強く推進しようとしています。
助成対象となる事業
本事業では、女性の健康課題解決に関する以下6つのテーマに該当する製品・サービスの開発・改良、およびその普及促進が対象となります。
- 月経(PMS、生理痛対策、月経周期管理など)
- 妊娠・不妊(妊活サポート、不妊治療に伴う負担軽減など)
- 産後ケア(骨盤底筋トレーニング、育児ストレス軽減、授乳サポートなど)
- 更年期(更年期障害の症状緩和、ホルモンバランス変化への対応など)
- 婦人科系疾患等(乳がん・子宮頸がん等の検診促進、疾患後のケアなど)
- ヘルスリテラシー(女性の身体に関する正しい知識の普及、健康教育サービスなど)
これらのテーマに沿った「新製品・新サービスの開発・改良に関する取組み」や、「開発・改良した製品等の先導的ユーザーへの導入、販路開拓に関する取組み」が支援の対象です。
助成対象者
本事業の申請に対象となるのは、以下のいずれかに該当する事業者です。
- 都内の中小企業者等 令和8年6月1日において、東京都内に登記簿上の本店又は支店を有し、実質的に1年以上事業活動を行っている中小企業者(会社および個人事業者)
- 都内での創業を具体的に計画している個人
大企業や、都外のみで活動している事業者は対象外となります。また、実質的な事業活動の実績(1年以上)が求められる点に留意が必要です。
助成率・助成上限額
本事業は、必須申請となる「①開発・改良フェーズ」と、任意でセット申請できる「②普及促進フェーズ」の2段階に分かれており、最大で総額2,350万円の助成を受けることができます。
| フェーズ | 概要 | 助成限度額 | 助成率 |
| (1) 開発・改良フェーズ (必須申請) | 実用化するための開発・改良、試作品の広報に要する経費 | 2,000万円 | 助成対象経費の 2/3以内 |
| (2) 普及促進フェーズ (任意申請) | (1)で実用化した技術・製品等の普及(先導的ユーザーへの導入や広告)に要する経費 | 350万円 (内訳:導入費200万円、展示会・広告費150万円) | 助成対象経費の 1/2以内 |
※注意点: 普及促進フェーズ(2)のみの申請はできません。必ず開発・改良フェーズ(1)と合わせて、または(1)のみで申請する必要があります。
助成対象経費
助成金の対象となる経費は、各フェーズごとに細かく定められています。
(1) 開発・改良フェーズの対象経費
製品やサービスを実用化・ブラッシュアップするための直接的な経費が対象です。
- 原材料・副資材費:試作用の素材や部品の購入費
- 機械装置・工具器具費:開発に必要な機器の購入・レンタル費
- 委託・外注費:外部へのシステム開発委託やデザイン外注など
- 産業財産権出願・導入費:特許出願や技術導入に要する費用
- 専門家指導費:医師や専門家、コンサルタントへの謝金・指導費
- 直接人件費:開発に直接従事する自社社員の人件費
- 展示会等参加費・広告費:試作品のマーケティングや広報に要する費用
(2) 普及促進フェーズの対象経費
完成した製品・サービスを市場に浸透させるための経費が対象です。
- 先導的ユーザーへの導入費用(原材料費、機械装置費、委託費、直接人件費など)
- 販路開拓費用(展示会等への出展小間料、プロモーションのための広告費など)
申請スケジュール
令和8年度の申請から事業実施までのタイムラインは以下の通りです。期間が非常にタイトであるため、事前の準備が必須となります。
- 申請受付期間 2026年6月15日(月)~ 6月30日(火)17時まで
- 助成対象期間 2026年11月1日 ~ 2028年7月31日まで(最大1年9か月以内)
持参や郵送、メールでの応募は一切受け付けられないため、Jグランツへの登録や書類作成は余裕を持って行う必要があります。
活用が期待される事業者
この助成金は、以下のような強みやビジョンを持つ事業者に特におすすめです。
- ヘルスケア関連企業:既存の健康食品や医療機器のノウハウをフェムテックに展開したい企業
- IT・スタートアップ企業:月経管理、妊活、更年期ケアなどのアプリやIoTデバイスを新規開発したい事業者
- 医療・介護関連事業者:婦人科系疾患のケアや産後ケアなど、現場の知見を活かしたサービスを開発したい事業者
- 女性向けサービス事業者:サロン、アパレル、教育などの既存事業にフェムテック(吸水ショーツ、インナーケア、ヘルスリテラシー教育等)を掛け合わせたい企業
採択を目指すためのポイント
- 解決すべき社会課題(健康課題)を明確にする 対象とする6テーマ(月経、更年期など)のうち、どの課題を解決するのか。それが働く女性や企業にどう貢献するのかを客観的なデータ(離職率や経済損失など)を交えて論理的に説明することが重要です。
- ターゲットとニーズを具体化する 「すべての女性」とするのではなく、「更年期症状に悩む40代の働く女性」「産後復職を目指す女性」など、ターゲットを絞り込み、ユーザーのリアルなニーズ(声)を捉えた開発計画であることを示します。
- 独自性と技術的優位性(市場性)を示す 既存の類似製品やサービスと比較して、自社の開発・改良品がどこにおいて革新的(テクノロジーの活用、利便性、価格等)であるかをアピールします。
- 現実的で実効性の高い普及計画を整理する 開発して終わりではなく、どのように市場へ届けるのか、ビジネスとしてどう自走させるのか。特に「普及促進フェーズ」も視野に入れた、具体的で無理のないプロモーション・販売戦略(先導的ユーザーの確保など)が評価を左右します。
まとめ
東京都の「女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業」は、女性特有の健康課題を解決し、社会全体のダイバーシティを推進する製品・サービスを最大2,350万円(開発2,000万円+普及350万円)という手厚い資金でバックアップしてくれる貴重な制度です。
フェムテック市場は今後も高い成長が期待される注目の分野です。本助成金を活用することで、初期の開発資金リスクを大幅に軽減し、スピーディーな社会実装と事業拡大につなげることができます。
自社の技術やアイデアを活かせるチャンスですので、ぜひ申請に挑戦してみてはいかがでしょうか。

