【2026年版】研究開発税制とは?補助金との併用メリットと活用ポイントを解説

企業の成長に欠かせないのが研究開発投資です。しかし、新技術や新製品の開発には多額のコストがかかり、資金面での負担が大きな課題となります。こうした課題に対応するため、国は「補助金」と「税制優遇」という二つの支援策を用意しています。その中でも「研究開発税制」は、法人税額から直接控除できる強力な仕組みであり、主要補助金と組み合わせることでメリットを最大化できます。

本記事では、研究開発税制の基本から、主要補助金との併用の考え方、さらに数値シミュレーションを通じて実務に役立つポイントを解説します。

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研究開発税制とは?

研究開発税制とは、企業が行った研究開発費の一部を法人税から直接控除できる制度です。通常の経費処理や減価償却による損金算入とは異なり、支払う税額そのものを減らせるため、資金繰りに与える効果は大きいといえます。

中小企業の場合、研究開発税制の控除率はおおむね試験研究費総額の10%程度(制度改正により変動あり)です。例えば1,000万円の研究開発費を支出した場合、100万円分を法人税額から差し引くことが可能になります。

対象となる研究開発費には以下が含まれます。

  • 新製品・新技術のための試作や実験費用
  • 大学・研究機関との共同研究費
  • 外注先への委託研究費
  • 社員の研究開発活動にかかる人件費

研究開発税制の4つのメニューに関するコラム

企業の規模や研究のスタイルに合わせて「4つのメニュー(類型)」が用意されており、令和8年度(2026年度)からは、国が指定する重点分野への投資を爆発的に後押しする「戦略技術領域型」が新設され、過去最大級の優遇措置がスタートします。詳しくはこちらのコラムをご覧ください。

【令和8年度改正】研究開発税制の4つのメニューを解説|新設「戦略技術領域型」は最大50%控除

主要補助金との関係

研究開発投資を支援する制度としては、補助金も代表的です。特に経済産業省の主要補助金は研究開発型の取り組みと相性が良く、毎年多くの企業が活用しています。

代表例としては以下が挙げられます。

これらの補助金で対象となる経費の中には、研究開発税制の対象となる費用が含まれるケースがあります。

補助金と併用は可能?

補助金と研究開発税制は、基本的に併用可能です

ただし、補助金で賄われた部分をそのまま税額控除対象にすることはできません。つまり、自己負担分のみが研究開発税制の対象となります。

たとえば、ものづくり補助金で2/3の助成を受けた場合、残りの1/3を企業が負担します。この自己負担額が研究開発費として税額控除の対象になる仕組みです。

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どの企業が活用すべきか

研究開発税制は、一部の大企業だけが利用する制度ではありません。製造業はもちろん、IT企業やスタートアップなど、新しい技術やサービスの開発に取り組む企業であれば活用できる可能性があります。

ここでは、特に研究開発税制との相性が良い企業の特徴を見ていきましょう。

製造業・ものづくり企業

研究開発税制の活用が最もイメージしやすいのが製造業です。

例えば、

  • 新製品の開発
  • 試作品の製作
  • 生産工程の改良
  • 新素材や新技術の研究
  • 品質向上に向けた技術開発

といった取り組みは、研究開発活動として認められる可能性があります。

近年は人手不足や原材料価格の高騰への対応が求められており、生産性向上や高付加価値化を目的とした研究開発投資の重要性が高まっています。研究開発税制を活用することで、こうした投資負担を軽減できる可能性があります。

IT・ソフトウェア開発企業

研究開発税制は製造業だけの制度ではありません。

IT企業やシステム開発会社においても、

  • AI関連システムの開発
  • 独自アルゴリズムの研究
  • SaaSサービスの開発
  • データ分析技術の高度化
  • 新たなソフトウェアの設計・実証

など、技術的な課題解決や新たな知見の獲得を目的とした開発であれば対象となる可能性があります。

近年はDXや生成AIの普及により、ソフトウェア開発への投資が拡大しています。研究開発税制を活用することで、開発人材への投資や新規事業の立ち上げを進めやすくなります。

スタートアップ・ベンチャー企業

スタートアップやベンチャー企業は、新技術や新サービスの開発を事業の中心としているケースが多く、研究開発税制との相性が良い企業といえます。

特に、

  • ディープテック分野
  • バイオ・医療分野
  • AI・ロボット分野
  • クリーンテック分野
  • 宇宙関連事業

などは研究開発費の割合が高くなりやすく、税制優遇の効果を受けやすい傾向があります。

また、研究開発型スタートアップは補助金や助成金を活用しているケースも多いため、研究開発税制と組み合わせることで資金調達手段を多様化できます。

研究開発費を継続的に投資している企業

業種を問わず、毎年一定額以上の研究開発費を計上している企業は、一度制度の活用可否を確認してみる価値があります。

「研究開発」というと大規模な研究所をイメージしがちですが、

  • 既存商品の改良
  • 新サービスの開発
  • 業務システムの高度化
  • 製造プロセスの改善

なども内容によっては対象となる場合があります。

自社では研究開発だと認識していなかった取り組みが、実は税制優遇の対象となるケースも少なくありません。

シミュレーションで比較する:研究開発税制の効果

前提条件

総研究開発費:3,000万円

補助金助成率:2/3(補助金 2,000万円、自己負担 1,000万円)

研究開発税制の控除率:10%

補助金なしで研究開発税制の場合

3,000万円自己負担

研究開発税制の控除額 300万円(10%)

補助金ありで研究開発税制の場合

1,000万円自己負担

研究開発税制の控除額 100万円

このように、補助金がある場合は自己負担額が減る分、税額控除額も小さくなります。補助金で大幅にコストを軽減したうえで、さらに残りの部分について税制優遇を受けられるため、資金繰り改善効果は大きいといえるでしょう。

圧縮記帳と研究開発税制の違い

ここで、補助金や助成金に関連してよく議論されるのが「圧縮記帳」との違いです。

圧縮記帳

補助金で取得した固定資産(機械・設備など)の取得価額を圧縮して、税務上の減価償却費を減らす方法。補助金を受けた場合に適用される。

補助金と圧縮記帳|どの補助金なら税負担を減らせる?制度ごとの適用可否を解説

研究開発税制

研究開発費に対して法人税額控除を行う制度。補助金の有無に関わらず、対象となる研究開発費に使える。

両者は性質が異なるため、対象が重ならない範囲では併用も可能です。

シミュレーションで比較する:圧縮記帳との併用

シミュレーション:補助金+研究開発税制と圧縮記帳との併用

前提条件

企業規模:中小企業

総研究開発費:2,000万円

設備投資:1,000万円

補助金:ものづくり補助金(一般型・補助率2/3)

研究開発税制控除率(中小企業型):10%

法人税額(研究開発税制適用前):600万円

自己負担額と補助額

自己負担額:1,000 − 666 = 334万円

設備投資1,000万円のうち、補助額666万円(補助率2/3)

研究開発費2,000万円のうち、設備投資分は補助金で賄われたため控除対象外

自己負担の研究開発費:2,000 − 666 = 1,334万円

圧縮記帳の効果

補助金が交付された設備投資分(666万円)は圧縮記帳可能

取得価額を圧縮することで減価償却費を調整し、税務上の課税所得を減らせる

研究開発税制の効果

自己負担の研究開発費1,334万円 × 10% = 133万円の法人税控除

さらに圧縮記帳で将来的に減価償却費を圧縮できるため、短期的にも長期的にも税負担を軽減できる効果があります。

ポイント:補助金+研究開発税制と圧縮記帳との併用

1.補助金で賄われた部分は研究開発税制の対象外
  自己負担分だけが控除可能

2.圧縮記帳と研究開発税制は併用可能
  圧縮記帳で設備投資分を課税繰延し、残りの自己負担分に税額控除を適用

3.資金繰り効果が最大化
  補助金でコストを軽減+残りの自己負担部分を税制で還付

東京都の助成金との関係

東京都の「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」などは、圧縮記帳の対象外とされています。前回のコラムで触れた通り、この点は注意が必要です。

補助金と圧縮記帳|どの補助金なら税負担を減らせる?制度ごとの適用可否を解説

ただし、研究開発税制については国税庁の制度であり、補助金の種類に関わらず、要件を満たす研究開発費用であれば適用可能です。東京都助成金で設備補助を受けた場合でも、補助金でカバーされない研究開発人件費や材料費については研究開発税制を利用できます。

【参考】今後の研究開発税制の傾向や企業に求められる方向性

令和5年度税制改正により、中堅・大企業でも積極的に研究開発投資を行うメリットが増すことが予想されます。

従来の単純な研究開発費控除から、戦略的・質の高い研究開発を後押しする制度へ進化しているといえます。

節税対策について関連コラム

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補助金と圧縮記帳|どの補助金なら税負担を減らせる?制度ごとの適用可否を解説


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よくある質問

Q1:研究開発税制とは何ですか?

研究開発に要した試験研究費の一部を法人税額から控除できる制度です。

Q2:中小企業でも利用できますか?

利用可能です。中小企業向けの優遇措置も設けられています。

Q3:ソフトウェア開発も対象になりますか?

一定の要件を満たす研究開発活動であれば対象となる場合があります。

Q4:補助金と併用できますか?

補助対象経費との関係を整理する必要がありますが、制度によっては併用可能です。

まとめ

研究開発税制は、補助金と違って「後から法人税額を減らせる」という特徴があり、資金繰りの安定に直結します。特に、

  • 補助金を受けた研究開発投資の自己負担分
  • 助成金ではカバーされない研究人件費や材料費
    といった部分で効果を発揮します。

また、圧縮記帳との違いを理解しておくことで、補助金と税制を組み合わせた最適な節税戦略を立てることが可能です。

補助金を申請する企業は、採択後の税務処理として「圧縮記帳」や「研究開発税制」をどう活用するかまで視野に入れておくと、資金効果を最大化できます。

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