令和8年度 東京都助成金の方向性を読む―「守りの支援」から「成長投資支援」へ
令和8年度(2026年度)に向けた東京都の予算要求概要が公表され、各種助成金についても事業ごとの方向性が見え始めています。
個別の助成金制度は今後の公募内容を待つ必要がありますが、予算要求段階の資料からは、東京都がどの分野に重点を置こうとしているのかを読み取ることができます。
本コラムでは、予算要求概要から読み取れる東京都助成金の方向性について整理・考察します。
令和8年度東京都助成金の傾向|「成長投資選別型」へ
令和8年度(2026年度)の予算要求概要を見ると、東京都の助成金は、すべての事業者に広く支援する形から、成長や変革につながる取り組みを選別して支援する方向へ移行しつつあるように見えます。
設備投資やイノベーション関連の事業では、予算規模の拡充が見られるものもあり、単なる現状維持ではなく、将来の競争力強化につながる取り組みを後押ししようとする意図がうかがえます。
拡充が見られる支援に共通する特徴
予算要求概要で増額が見られる事業を見ていくと、いくつかの共通点があります。
- 生産性向上や付加価値創出を目的とした設備投資
- 新技術・新分野への挑戦を伴う取り組み
- 中長期的な事業成長を意識した投資
これらは、単なる設備更新やコスト削減を目的とするものというより、事業の方向性そのものを前進させる投資に重きが置かれている点が特徴です。
東京都の助成金は、「何を購入するか」よりも、「その投資がどのような成長につながるのか」を重視する段階に入ってきていると考えられます。
拡充が予想される制度|「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」
こうした特徴が具体的な制度として表れている例として、次の事業の予算の増額が見られます。
- 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業
- TOKYO戦略的イノベーション促進事業
いずれも、単なる設備更新や短期的なコスト削減を目的とするものではなく、事業の成長性や将来性を重視した取り組みを対象としている点に共通点があります。
予算要求段階の資料からは、東京都がこれらの分野において中長期的な視点での投資や挑戦を後押ししようとしている姿勢がうかがえます。
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」関連コラム
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」について
▶ 東京都助成金|躍進的な事業推進のための設備投資支援事業【第11回募集】概要と申請ポイント整理
「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」について
▶ 【2025年度】TOKYO戦略的イノベーション促進事業とは?最大8,000万円の助成金で事業の革新を加速
予算規模が縮小している事業の捉え方
一方で、BCP策定支援やサイバーセキュリティ対策といった分野では、予算規模が縮小している事業も見られます。
ただし、これはこれらの分野の重要性が低下したことを意味するものではありません。
一定の普及が進んだことや、他の施策との整理・再編を見据えた調整である可能性も考えられます。
リスク対策は、今後、独立した支援テーマというよりも、事業継続や経営基盤強化の前提条件として位置づけられていくことも想定されます。
「守りのための助成金」から「未来をつくる助成金」へ
こうした動きを総合すると、令和8年度(2026年度)の東京都助成金は、
- リスクを避けるための支援
- 現状を維持するための支援
から、
- 将来の成長を見据えた投資を後押しする支援
- 事業の変化・挑戦を評価する支援
へと、重心を移しつつあるように読み取れます。
助成金は単なる資金補助ではなく、東京都からの「こうした取り組みを進めてほしい」というメッセージでもあります。
事業者が意識したい視点
令和8年度(2026年度)以降、東京都の助成金を検討する際には、
- なぜこの投資が必要なのか
- この取り組みが将来の事業にどうつながるのか
といった点を、これまで以上に整理しておくことが重要になりそうです。
制度名や補助率だけで判断するのではなく、政策の方向性と自社の経営課題が重なっているかという視点が、助成金活用の成否を分ける要素になっていくと考えられます。
まとめ
令和8年度東京都の予算要求概要からは、助成金政策が「成長投資選別型」へ移行しつつある様子が読み取れます。
すべての制度がこの方向に当てはまるとは限りませんが、今後の助成金を検討するうえで、東京都の政策意図を意識することは、ますます重要になるでしょう。
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