補助金と圧縮記帳|どの補助金なら税負担を減らせる?制度ごとの適用可否を解説

補助金を受け取ると課税対象となるため、利益が大きく増えたように見えて税負担が重くなるケースがあります。これを緩和する仕組みが「圧縮記帳」です。

圧縮記帳についてのコラム

▶ 補助金にも税金がかかる!?税負担を減らす圧縮記帳とは?

しかし、圧縮記帳はすべての補助金に適用できるわけではありません。本コラムでは「適用条件のポイント」「主要な補助金ごとに圧縮記帳が認められるかどうか」を整理しました。

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圧縮記帳の適用条件とは?

1.固定資産の取得に充てられる補助金であること

圧縮記帳は「固定資産」を取得したときに利用できる制度です。

つまり、建物、機械、設備、車両など長期にわたって使用する資産の購入費に充てられた補助金が対象となります。技術導入費や専門家経費など、固定資産以外に使われる補助金は対象外です。

2.国庫補助金等に該当すること(所得税法第42条・法人税法第42条)

直接国から交付される補助金や、国の資金を原資とする補助金が対象です。

民間資金を原資とする補助金や、経費補填型の補助金は対象外となります。適用には、他の要件(資産区分や取得日など)も満たす必要があります。

圧縮記帳が認められる主要補助金まとめ

新事業進出補助金

固定資産の取得に充てる補助金は、圧縮記帳が認められます。

技術導入費や専門家経費など、固定資産以外は圧縮記帳は認められません。

ものづくり補助金

固定資産の取得に充てる補助金は、圧縮記帳が認められます。

経費補填部分は圧縮記帳は認められません。

▶ ものづくり補助金解説コラム

中小企業成長加速化補助金

事務局(TOPPAN)を通じて交付されますが、国庫補助金等に該当します。

固定資産の取得に充てる補助金は、圧縮記帳が認められます。

経費補填部分は圧縮記帳は認められません。

▶ 中小企業成長加速化補助金解説コラム

大規模成長投資補助金

固定資産の取得等に充てる場合は、圧縮記帳が認められます。

また、税務上の扱いは複雑なため、必ず税理士等に確認しましょう。

▶ 大規模成長投資補助金解説コラム

小規模事業者持続化補助金

国庫補助金等に該当します。

固定資産の取得や改良に充てる場合は圧縮記帳が可能です。

▶ 小規模事業者持続化補助金解説コラム

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東京都の助成金は認められるの?

結論からいうと言うと、東京都の助成金は原則として「国庫補助金等」には該当しませんので、圧縮記帳の適用対象外です。

所得税法第42条・法人税法第42条の「国庫補助金等」は、国(国税庁所管)の予算から交付される補助金や国の資金を原資とする補助金を指します。

【参考】古い東京都助成金(例:平成29年の「革新的事業展開設備投資支援事業」)は適用対象だった?

公財で交付されていても、「東京都からの出えん金を原資としているため、国庫補助金等に該当」として、圧縮記帳の適用が認められていました。これは特例的に地方自治体の助成金でも、国の資金が原資になっている場合は対象となる例です。

現在の「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」など

こちらは東京都の独自予算で実施されており、国の資金が原資ではありません。したがって、原則として 圧縮記帳の適用対象外 です

固定資産取得に充てたとしても、所得税法・法人税法第42条の規定は適用されません。

もし不明な場合は、税理士に確認しつつ「国の資金が原資かどうか」を明確にして判断することが大切です。

圧縮記帳を利用した具体的な計算例などはこちらのコラム

通常の会計処理と圧縮記帳を利用した場合の会計処理(直接圧縮法)の計算例など解説しています。

▶ 補助金にも税金がかかる!?税負担を減らす圧縮記帳とは?

まとめ

圧縮記帳を活用することで、補助金を受け取っても課税所得を増やさずに済みます。
重要なのは以下の2点です。

  1. 補助金が固定資産の取得に充てられること
  2. 補助金が国庫補助金等に該当すること

補助金を受け取った際は、取得資産や補助金の使途を確認し、必要に応じて税理士などの専門家に相談しましょう。

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