【令和8年度】観光庁「省力化投資補助事業」と経産省省力化補助金の違いを解説|宿泊事業者向け

宿泊業を中心とした観光産業では、人手不足が慢性化する一方で、インバウンドを含む観光需要は回復・拡大傾向にあります。
こうした状況を背景に、観光庁令和7年度補正予算において、「観光地・観光産業における省力化投資補助事業」を実施します。

本コラムでは、

  • 観光庁の省力化投資補助事業の制度内容
  • 経産省の省力化投資補助金との違い
  • 申請できる事業者の考え方
  • 計画書作成時に意識すべきポイント

を整理し、宿泊事業者が制度選択を行うための判断材料を提供します。

令和8年度実施観光庁の省力化投資補助事業の概要|補助額など

観光庁の省力化投資補助事業は、観光需要の増加に対応するため、宿泊施設における人手不足の解消に資する設備投資を支援する制度です。

主な制度概要は次のとおりです。

  • 対象:旅館業法の許可を受けた宿泊事業者
  • 補助上限:1施設あたり1,000万円
  • 補助率:1/2
  • 申請可能施設数:最大3施設(同一グループ含む)
  • 対象製品: 自動チェックイン機、スマートロック、PMS、清掃ロボット、配膳ロボットなど、宿泊業務全般を網羅

単なる設備更新ではなく、業務負担の軽減や省人化につながるかどうかが制度の前提となっています。

スケジュール|観光庁「省力化投資補助事業」

計画申請受付開始:2026 年 3 月 27 日(金)
参加申込締切: 2026 年 5 月 22 日(金)
計画申請受付締切:2026 年 5 月 29 日(金)

対象は「宿泊事業者限定」|観光庁省力化補助金の特徴

この補助金の最大の特徴は、対象が宿泊事業者に限定されている点です。

背景には、

  • フロント・清掃・バックヤード業務の人材確保が特に困難
  • 宿泊業が観光地全体の受入体制の中核を担っている

といった事情があります。

また、申請にあたっては、DMO・自治体・観光協会等との連携実績または予定を示すことが求められており、「一事業者の効率化」にとどまらず、地域としての人手不足解消への貢献が評価対象となります。

経済産業省「省力化投資補助金(一般型・カタログ型)」との違い

観光庁の制度と、経済産業省が所管する省力化投資補助金は、同じ「省力化」を目的としながらも、考え方が異なります。

観点観光庁 省力化経産省 省力化
対象宿泊事業者のみ幅広い業種(中小企業・小規模事業者全般)
主目的観光地の受入体制強化生産性・付加価値向上
重視点現場の人手不足解消数値計画・投資効果
計画書業務改善の具体性経営計画の整合性

宿泊業の現場改善を重視するか、企業全体の生産性向上を重視するかが、制度選択の分かれ目になります。

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経産省の省力化投資補助金の対象外でも申請できるケースとは

観光庁の省力化投資補助事業は、経産省の省力化投資補助金の対象要件を満たさない事業者でも申請できる場合があります。

例えば、

  • 中小企業要件を満たさない宿泊事業者
  • 経産省補助金では対象外となる設備投資

であっても、「宿泊施設における人手不足解消」に資する内容であれば、観光庁の制度では検討対象となり得ます。

ただし、経産省カタログ型に掲載されている製品は条件により補助対象外となるため、事前の整理が不可欠です。

採択率に差はある?観光庁と経産省で異なる審査の考え方

審査の進め方には、経済産業省の補助金とは異なる特徴があります。

観光庁省力化補助金では、二次公募の実施については「一次公募の申請状況を見て検討する」とされているので、制度の構造としては次のように整理できます。

「一次公募の段階で、要件を満たす申請が予算額に達した場合、二次公募は実施されず、公募が終了する可能性がある。」

早期申請が有利?

ここで言う「早期申請が有利になり得る」というのは、「早い者勝ちで無条件に採択される」という意味ではありません。

あくまで、

  • 補助目的に合致し
  • 要件を満たした計画について
  • 予算の範囲内で順次判断される可能性がある

という点において、実務上は早めの申請に合理性がある、という意味です。

そのため、

  • 内容が不十分な計画は、早期申請でも採択されない
  • 反対に、内容が十分でも、申請が遅れると予算上の制約を受ける可能性がある

という点は、理解しておく必要があります。

経産省の補助金と何が違う?審査方式の違いを整理

観光庁の省力化投資補助事業と、経済産業省が実施する補助金とでは、審査の考え方そのものが異なります。

経産省系補助金の審査の特徴|省力化投資補助金

経産省の補助金(省力化投資補助金など)では、

  • 公募締切後に全申請を一括で審査
  • 採択枠を前提とした相対評価
  • 数値計画・投資効果・成長性を重視

という仕組みが採られています。

このため、締切直前に提出しても不利になることは基本的にありません。一方で、他の申請者との比較の中で評価されるため、一定の競争性があります。

観光庁「省力化投資補助事業」の審査の特徴

これに対し、観光庁の省力化投資補助事業では、

  • 計画内容が補助目的に合致しているか
  • 宿泊施設の現場業務が具体的に省力化されるか
  • 早期に効果が発現するか

といった点が重視されます。

また、予算上限が意識された運用となるため、「他の申請者より優れているか」よりも、「制度の趣旨に適合しているか」が判断軸になります。

審査方式の違いを一言でまとめると

  • 経産省補助金:競争型(相対評価)
  • 観光庁補助金:適格性確認型に近い審査

と整理されます。

どちらを選ぶべきか|宿泊事業者にとっての補助金の使い分け

宿泊事業者にとっては、次のような考え方が一つの目安になります。

  • 宿泊現場の人手不足対策を主目的とする場合
     → 観光庁 省力化投資補助事業
  • 事業全体の生産性向上や成長投資を重視する場合
     → 経産省 省力化投資補助金

同じ「省力化」でも、制度の目的と評価軸は大きく異なります。
自社の課題に合った制度を選択することが、採択と実行の両面で重要です。

まとめ|観光庁「省力化投資補助事業」

観光庁の省力化投資補助事業は、計画内容の審査を前提としつつ、経産省補助金のような相対評価型の競争とは異なる制度設計となっています。
予算上限があることから、実務上は早期に要件を満たした申請を行うことが重要です。

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