インボイス制度の経過措置はどう変わる?2026年度税制改正で示された段階的見直しを解説
インボイス制度の導入から一定期間が経過し、「経過措置が終われば負担が一気に増えるのではないか」と不安を感じている事業者の方も多いのではないでしょうか。
こうした中、2026年度税制改正では、インボイス制度に関する経過措置について一定の見直しが示されました。
本コラムでは、2026年以降に何がどう変わるのか、事業者は何を押さえておくべきか、インボイス制度の経過措置見直しのポイントを整理します。
インボイス制度の「経過措置」とは何だったのか
インボイス制度では、原則として適格請求書を発行できない免税事業者からの仕入れについては、仕入税額控除が認められません。
ただし、制度開始による急激な影響を避けるため、一定期間は仕入税額控除を一部認める「経過措置」が設けられてきました。
また、課税事業者となった個人事業者についても、納税額を軽減する特例措置(いわゆる「2割特例」)が用意されていました。
2026年度税制改正で示された見直しの全体像|インボイス制度
2026年度税制改正では、インボイス制度に関して「経過措置を予定どおり終了させる」のではなく、段階的・現実的な対応を継続する方向性が示されています。
見直しの柱は、大きく次の2点です。
- 個人事業者の納税負担に関する特例措置
- 免税事業者からの仕入れに係る仕入税額控除の扱い
【ポイント①】個人事業者向け「売上税額の3割納付」措置
いわゆる「2割特例」は終了予定ですが、その後についても個人事業者の急激な負担増を避けるための措置が講じられます。
具体的には、令和9年(2027年)分および令和10年(2028年)分の2年間に限り、納税額を売上税額の3割とすることが可能とされています。
これまで2割特例の対象でなかった個人事業者も含め、幅広く適用される点が特徴です。
【ポイント②】免税事業者からの仕入れに関する経過措置の延長
免税事業者からの仕入れに係る仕入税額控除についても、最終的な期限を延長した上で、控除率の引下げペースが緩和されます。
- 令和8年(2026年)10月から:7割
- 令和10年(2028年)10月から:5割
- 令和12年(2030年)10月~令和13年(2031年)9月末:3割
あわせて、免税事業者ごとの年間適用上限仕入額は1億円に引き下げられます。
この見直しにより、免税事業者との取引が直ちに困難になるわけではなく、一定の調整期間が確保される形となっています。
経過措置の見直しが事業者に与える影響|インボイス制度
今回の見直しから読み取れるのは、制度の定着を前提としつつも、現場への影響を考慮した「段階的な移行」を重視している点です。
一方で、経過措置はいずれ終了することが前提であることに変わりはありません。
免税事業者との取引方針や、将来的な価格設定・契約条件については、中長期的な視点での整理が必要になります。
支援策としての補助金|小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、物価高騰、賃上げ、インボイス制度の導入など、複数年にわたる制度変更に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓や業務効率化を支援する制度です。
単なる売上拡大だけでなく、
- 新たな市場への参入
- 新規顧客層の獲得
- 業務効率化による生産性向上
といった「持続的な経営」を後押しする点が特徴です。
インボイス特例|小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金には、インボイス制度への対応を目的とした取組を支援する特例(インボイス特例)が設けられています。
例えば、
- 課税事業者化を前提とした価格表示・販促方法の見直し
- 取引条件変更に対応するための販路開拓
- 会計・受発注業務の効率化
といった取組が、販路開拓や生産性向上の一環として位置づけられます。
インボイス対応を「守り」ではなく、「経営改善のきっかけ」として捉える考え方です。
小規模事業者持続化補助金のコラム
まとめ|インボイス制度の経過措置見直しはどう考える?
2026年度税制改正によるインボイス制度の経過措置見直しは、「負担がなくなる」という話ではなく、「調整期間が延びた」と解釈されます。
事業者としては、
- 自社がどの措置の対象になるのか
- いつまで、どの程度の影響が続くのか
を冷静に把握し、過度に急ぐことなく、段階的に対応を検討していくことが重要です。

