後継ぎから挑む新規展開──東京都「事業承継を契機とした成長支援事業」で描く未来(2025年度開始)

事業承継後このようなことでお困りの事業者さま

  • 古い業態を刷新して、新しい世代のニーズに応えたい
  • 技術はあるが販路は限られている
  • デジタル化・オンライン対応に踏み切れない

東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社が2025年度から開始した「事業承継を契機とした成長支援事業」は、後継者が新たなステージに踏み出すための心強い支援制度です。単なる承継にとどまらず、次世代が"攻めの承継"を目指す契機となるよう設計されています。

現時点では募集要項は公開されてません。2025年6月下旬に公開予定です。

(更新日:2025年6月11日)

・事業承継を契機とした成長支援事業とは?

・いくらもらえるの?

・対象経費は?

・どんな事業者が活用できるの?

・スケジュール

事業承継を契機とした成長支援事業とは?

2025年度から新たに実施する東京都の助成制度です。
本事業は、更なる企業の成長を目指す後継者が取り組む新規事業展開を支援することにより、都内中小企業の事業承継を後押しします。

どんな事業者が活用できるの?

・令和4年(2022年)4月1日から令和7年(2025年)3月31日の間に事業承継をする

・事業承継を契機として新規事業展開に取り組む都内中小企業(個人事業者含む)

いくらもらえるの?

助成額:最大800万円

助成率:通常は経費の2/3以内。賃金引き上げ計画を策定すれば3/4、小規模企業は4/5

対象経費は?

  • 原材料・副資材費
  • 機械装置・工具器具費
  • 委託・外注費
  • 産業財産権出願・導入費
  • 規格等認証・登録費
  • 設備等導入費
  • システム等導入費
  • 専門家指導費
  • 不動産賃借料
  • 販売促進費
  • その他経費

※委託・外注費のうち「市場調査費」、「専門家指導費」、「販売促進費」、「その他の経費」の単独の申請はできません。

※販売促進費は、既存事業に係る販売促進については対象外となります。

また、 アドバイザー派遣 も支援内容です。
専門家を派遣し、当該取組に係る改善点や更なる事業展開に向けたアドバイスを実施します(1社2回・無料)

どんな取組内容が対象?

取組例として次の2つが挙げられています。

・新たな顧客・新たな市場へ向けた新規事業展開

・自社にない技術・設備の開発・導入による新規事業展開

具体例としては、

  • 業務用空気清浄機の製造会社が家庭用の小型製品を開発する
  • 美容室が写真館を隣に新設してセットでサービスを提供する
  • 町のパン屋を継いだばかり。今のままじゃ厳しいけど、カフェ併設やEC販売の構想がある

このようなものがあります。

スケジュール

募集要項・電子申請マニュアル・申請書公開:2025年6月下旬予定

事前エントリー期間:第1回は2025年7月1日〜7月31日

電子申請:交付決定後1年を目安に事業実行

現地診断・アドバイザー派遣:採択企業へ2回の専門家派遣あり

※第2回募集(予定:11月上旬)もあります。

まとめ

この制度は、単なる技術の受け継ぎではなく、「事業承継」を推進する強力な後押しです。全国的にも珍しい800万円の助成上限、かつアドバイザリー支援付きという手厚さは、高い志ある後継者にとって大きな追い風となるでしょう。

後継者として自社の強みと市場機会を再設計できれば、承継後の経営にも自信を持って取り組めます。東京都は、この制度を通して「承継の機会を企業の成長の起点にする」というメッセージを強く発信しています。