グローバル資本市場のハブ「シンガポール証券取引所(SGX)」とは? ─ 東南アジア×上場戦略の基礎知識 ─海外展開支援

日本の中堅・スタートアップ企業が、海外上場先として注目しはじめているのが、シンガポール証券取引所(SGX)です。

東南アジアで最大規模の証券取引所であり、アジア・欧米からの資金が集まる「国際資本市場の交差点」として、世界中の企業が活用しています。

  • シンガポールについて
  • SGXの基本情報
  • 2つの市場CatalistとMainboardとは?
  • SGXはなぜ注目される?

について詳しく解説します。

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シンガポールという国 ― 小国でありながら、アジア屈指の国際金融都市

東南アジアに位置するシンガポール共和国は、面積わずか東京23区ほどの都市国家でありながら、世界有数の金融・物流・ビジネス拠点として確固たる地位を築いています。

  • 世界銀行「ビジネス環境ランキング」では常に上位
     外国企業の進出のしやすさ、法制度の透明性、税制の競争力などが評価されています。
  • アジアの国際金融センター
     シンガポールには世界の主要銀行、証券会社、ヘッジファンドが集積しており、香港やロンドンと並ぶ金融ハブとされています。
  • ASEANのゲートウェイ
     10億人規模の消費市場を抱えるASEAN地域の中心に位置し、東南アジア・南アジア・中東との結節点としても注目されています。
  • 公用語は英語。法制度は英国法ベース
     外国人投資家・企業にとっての参入障壁が低く、契約・法的手続きも明確です。

ビジネスに適した環境を備えた国、シンガポール── 税制・法制度・雇用面から見る実務的メリット ──

税制:法人実効税率は最大17%、租税条約も豊富

  • シンガポールの法人税率は一律17%と、日本(最大約30%)と比較しても大きな差があります。
  • キャピタルゲイン(株式売却益)や配当への課税は基本的に非課税。資本政策の柔軟性に優れています。
  • 日本を含む80カ国以上と租税条約を結んでおり、二重課税の回避が可能。

法制度:英国法ベースの透明な制度と迅速な司法手続き

  • シンガポールの法体系は英国法をモデルにしており、国際商取引に対応した法制度として評価されています。
  • 商事紛争の解決も迅速で、国際仲裁や商事裁判の受け入れ機能も整備されています。
  • 知的財産の保護にも力を入れており、特許・商標管理も国際標準に準拠。

雇用・労働環境:優秀な多国籍人材と制度的安定

  • 公用語が英語であるため、多国籍人材との連携がしやすい環境です。
  • 雇用契約や就労ビザの制度も明確で、外国企業の現地採用や出向者の管理がしやすい特徴があります。
  • 高度外国人材への就労ビザ(Employment Pass)取得も比較的スムーズです。

このように、シンガポールは「市場として魅力的であるだけでなく、事業拠点としての信頼性」も極めて高い国です。
SGX上場を起点に、現地法人設立や現地パートナーシップ構築を行う企業も増えています。

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SGXの基本情報

所在地:シンガポール
上場企業数:約850社(Mainboard 約640社、Catalist 約210社)
対応言語:英語(開示、IR、上場書類すべて英語対応)
時価総額:約7,000億ドル超(2024年時点)
特徴:国際性の高い市場構造、スポンサー制度による柔軟な上場支援

2つの市場 CatalistとMainboardとは?

SGXには主に2つの上場市場があり、それぞれに特徴があります。

Mainboard(メインボード)

  • 上場企業数:約640社(2022年時点)
  • 対象:一定基準を満たす成熟企業、REIT、ビジネス信託
  • 上場条件:収益・時価総額・資本政策など、厳格な定量・定性基準あり
  • 特徴:大手・安定業種(金融・インフラ・大規模製造・不動産)といった大型株が中心

Catalist(カタリスト市場)

  • 上場企業数:約210社(2022年時点)
  • 対象:成長志向の中堅・ベンチャー企業、未上場の急成長企業
  • 上場条件:スポンサーによる審査・承認方式。定量的基準なし
  • 特徴:IT・テクノロジー・消費・医療ヘルスケアなど、新興・成長セクターの企業が多い。平均的に規模は小さく流動性に差あり

  • Mainboardでは、REITや金融など資本規模が大きいモデルが多く、市場の安定と規模感重視
  • Catalistは未上場からの成長企業をターゲットとしており、スピード重視・スポンサー制度による柔軟な進展が特徴。
  • 2024年にはCatalist中心にIPOが活発(例:カラオケチェーン、日系飲食業)
市場想定企業・ステージ主なセクター特徴
Mainboard中堅~大規模、収益基盤あり金融、REIT、不動産、インフラ、大手製造安定性重視、条件厳格、グローバル機関投資家向け
Catalistベンチャー~成長期企業IT、消費、ヘルスケア、中堅製造スポンサー制度、審査簡便、成長志向強い

上場の意思決定に際しては、自社の現状や成長戦略に照らし、Catalistによる迅速な成長支援型上場か、Mainboardへの堅実な規模拡大志向かを検討いただくことが効果的です。

当社がご提案するのは、SGX Catalist市場を活用した「東南アジア×資金調達×ブランド力強化」という海外成長戦略です

シンガポール市場上場という新たな選択肢― 東証上場企業・上場準備企業のための海外展開支援 ―

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なぜ今、SGXが注目されるのか?

現在、東京証券取引所では、グロース市場に上場した後の「維持基準の見直し」が進められています。
IPO要件自体は大きく変わらないものの、「上場後5年以内に時価総額100億円以上」という厳しい条件が新たに検討されており、これまでのような「上場=ひとつのゴール」という考え方が通用しづらくなりつつあります。


東証グロースに関しての詳しい解説コラムは後日公開


こうした背景から、国内市場だけにこだわらず、自社にとって本当にフィットする上場先を見極めたいという企業が増え始めています。その中で、成長企業のためのもう一つの選択肢として注目されているのが、シンガポール証券取引所(SGX)です。

SGXが注目される理由には、以下のようなポイントもあります

  • 英語による情報開示が標準化された市場であり、今後求められるグローバルIR体制の整備に直結する
  • アジア圏の投資家・戦略パートナーと直接つながる機会が増えることで、資金調達だけでなく海外展開や販路拡大にも波及効果が期待できる
  • Catalist市場(成長企業向け市場)を通じて、東南アジア圏でのブランド構築・成長資金調達を同時に実現できる

特に、今後ますます加速するグローバルな資本市場との連携を見据えると、SGXのような次のステージに向けた市場に注目が集まるのは、ごく自然な流れとも言えるでしょう。

現在、SGX上場を具体的に検討されている企業様向けに、無料のオンライン個別相談会を実施中です。

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