中小企業経営強化税制とどう違う?2026年度からの設備投資減税・選択ガイド
令和8年度(2026年度)税制改正により、国内投資を強力に後押しする新しい減税制度が動き出します。
これまで中小企業の設備投資における本命だった中小企業経営強化税制に加え、新たに「大胆な投資促進税制」が登場したことで、企業の選択肢は広がりました。
「自社はどちらを使えばいいのか?」「併用はできるのか?」
本コラムでは、2026年以降の設備投資戦略に欠かせない、2つの税制の違いと選び方の基準を徹底解説します。
2026年度税制改正の全体像や、新制度の詳しいスペック(7%控除や即時償却の条件)をまず確認したい方は、こちらのコラムをご覧ください。
▶ 【2026年度税制改正】設備投資促進減税案を徹底解説|7%税額控除・即時償却・対象要件・必要な手続きまで
2026年度から加わる「大胆な投資促進税制」とは?|投資額「5億円以上」が新制度活用のボーダーライン
新設されるこの制度は、国内の「稼ぐ力」を底上げするために作られた、文字通り「大胆」な優遇措置です。最大の特徴は、建物や構築物も対象に含まれる点と、高い即時償却率にあります。
- 主なメリット: 即時償却(全額一括経費) または 7%の税額控除
- 投資要件: 投資総額が5億円以上(中小企業の場合)
- 収益性要件: 年平均の投資利益率(ROI)が15%以上見込まれること
【比較表】中小企業経営強化税制 vs 大胆な投資促進税制
既存の「経営強化税制」と新制度の違いを一覧で比較します。
| 比較項目 | 中小企業経営強化税制(既存) | 大胆な投資促進税制(2026新設) |
| 投資額のハードル | なし(少額からOK) | 5億円以上(中小企業) |
| 主な対象設備 | 機械装置、ソフト、器具備品等 | 機械、ソフト + 建物、構築物 |
| 即時償却 | 可能(100%) | 可能(100%) |
| 税額控除 | 10%(資本金3千万超は7%) | 7%(建物等は4%) |
| 収益性要件 | 類型により異なる(年平均5%等) | 年平均15%以上(高ハードル) |
| 事前手続 | 経営力向上計画の認定 | 経済産業大臣の計画確認 |
どちらを選ぶべきか?3つの判断基準
① 投資の「規模」で決める
- 5億円未満の投資: 迷わず「中小企業経営強化税制」です。新制度は5億円以上の大型プロジェクトが対象となるため、通常の設備更新や小規模なDX投資は引き続きこちらを活用します。
- 5億円以上の投資: 新制度の検討対象になります。
② 投資の「対象」で決める
- 工場や倉庫の新増設を伴う場合: 「大胆な投資促進税制」が圧倒的に有利です。従来の経営強化税制では対象外だった「建物」や「構築物」についても即時償却や税額控除が適用できるため、キャッシュフロー改善効果が非常に大きくなります。
③ 「収益性」の自信で決める
- 新制度はROI 15%以上という高いハードルがあります。非常に収益性の高い新規事業や、劇的なコストカットが見込める自動化ラインなどは新制度を、着実な生産性向上を目的とする場合は経営強化税制を選ぶのが現実的です。
関連コラム|即時償却と税額控除
中小企業経営強化税制を選んだ場合、具体的に「即時償却」と「税額控除」のどちらが節税メリットが大きいかの判断については、こちらの記事で詳しくシミュレーションしています。
▶ 中小企業経営強化税制の活用 ― 即時償却と税額控除、どちらを選ぶべきか?
知っておきたい2026年改正の「細かいけれど重要な変更点」
2026年度改正では、使い勝手に影響する細かなルール変更も行われています。
- 少額減価償却資産の判定引き上げ: 30万円未満から40万円未満に引き上げられました。これにより、中小企業経営強化税制などの対象となる「工具・器具備品」の下限額もスライドして変更される点に注意が必要です。
- 賃上げ促進税制との連動: 2026年以降、設備投資減税の適用を受けるための要件として、賃上げの実績がより厳格に評価される流れにあります。
新制度を利用するための「手続き」と「期限」
新設される「大胆な投資促進税制」は、これまでの税制よりも事前の準備が厳格に求められます。
手続きは「設備を買う前」が鉄則
最大の注意点は、設備を発注・取得する前に「投資計画」の承認を受ける必要があることです。後出しでの申請は認められません。
- 投資計画の策定: ROI(投資利益率)15%以上の根拠をまとめた計画書を作成。
- 経済産業局への申請・確認: 計画の内容について国の「確認書」を取得。
- 設備の取得・供用: 確認書を取得した後に、設備を導入。
- 確定申告: 取得した確認書を添えて、即時償却や税額控除を適用。
誰に相談すればいい?専門家の役割分担
5億円以上の大型投資ともなれば、書類の作成や数値の根拠付けは非常に複雑です。自社だけで進めるのではなく、専門家をうまく活用しましょう。
行政書士:計画策定と「入り口」のプロ
「投資計画書」の作成支援や、経済産業局への申請代理を担います。特に工場建設を伴う場合の建築関連の許認可や、補助金申請とセットで進める場合に、最も頼りになるパートナーです。
税理士:税額計算と「出口」のプロ
取得した確認書をもとに、実際の確定申告で「即時償却」と「税額控除」のどちらが有利かをシミュレーションし、正しく税務処理を行います。
認定経営革新等支援機関
計画の事前確認を行う機関です。多くの税理士や行政書士、金融機関がこの登録を受けています。
まとめ|大型投資なら「新制度」、着実な投資なら「経営強化税制」
2026年以降、中小企業が数億円単位の大型投資(特に建物を伴うもの)を行うなら、新設される「大胆な投資促進税制」の活用を第一に検討すべきです。一方で、日常的な設備更新については、引き続き「中小企業経営強化税制」が使い勝手の良いメインの選択肢となります。
「自社の投資計画がどちらに合致するか」「最大いくらの節税になるか」など、具体的なシミュレーションについては、早めに専門家へご相談ください。
専門家へご相談を
- 「5億円以上の投資を検討しているが、自社の計画で通るだろうか?」
- 「建物を含めた即時償却を確実に適用させたい」
- 「補助金と減税、どちらも最大限に活用したい」
このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度当社へご相談ください。
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