経産省が検討する「試作品購入支援」とは?スタートアップの量産を後押しする新たな補助制度の動き
スタートアップ、とりわけディープテック分野では、「技術はあるが、最初の取引が生まれない」という壁に直面するケースが少なくありません。
こうした状況を踏まえ、経済産業省が新たな支援策として検討しているのが、スタートアップの試作品を「大企業が購入する際の費用を補助する制度」です。
2026年1月27日の日経報道によれば、量子・AI・ロボティクス・医療機器などの先端分野を対象に、試作品購入費用の最大半額を補助する仕組みが、早ければ2026年3月にも利用可能になるとされています。
本コラムでは、
- この制度がどのような背景で検討されているのか
- 既存のスタートアップ支援策と何が違うのか
- スタートアップ側は今から何を意識すべきか
を、公開されている予算資料も踏まえて解説します。
試作品購入支援とはどのような制度か
日経報道によると、経済産業省は、スタートアップが開発した試作品を大企業が購入した場合、その費用の最大半額を補助する制度を検討しています。
対象分野は、
- 量子
- AI
- ロボティクス
- 医療機器
など、いわゆるディープテック領域が想定されています。
目的は、研究開発段階にとどまりがちな技術について、「最初の商取引」を生み出し、量産・事業化につなげることです。
なぜ「購入する大企業」を支援するのか
従来の補助金は、スタートアップ自身への研究開発補助や設備投資補助が中心でした。
一方で今回の制度は、購入する側(大企業)に補助を出すという点が特徴です。
これは、
- 技術評価が難しい
- 実績がないと購入判断しづらい
という大企業側のハードルを下げ、スタートアップとの最初の取引を後押しする狙いがあると考えられます。
どの予算・事業と関係していそうか
令和8年度(2026年度)当初予算案および補正予算を見ると、スタートアップ支援関連として、以下の事業が計上されています。
- グローバル・スタートアップ創出支援事業(補正・46億円)
- ディープテック・スタートアップ関連事業(GX、医工連携等)
日経報道で触れられている「基金を活用」「45億円規模」という点を踏まえると、グローバル・スタートアップ創出支援事業の枠組みの中で、新たな支援メニューとして追加される可能性が高いと考えられます。
現時点では事業名など明らかになっていませんが、予算の流れから見ると、突発的な制度ではなく、既存のスタートアップ支援政策の延長線上にある施策といえます。
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スタートアップ側にとっての意味
この制度が実現した場合、スタートアップにとって重要なのは、「補助金を直接もらえるか」ではありません。
むしろポイントは、
- 試作品を売れる形で整理できているか
- 大企業との契約・知財・責任範囲を説明できるか
- 量産を見据えたストーリーを描けているか
といった、事業化フェーズへの備えです。
制度は「きっかけ」を与えるに過ぎず、その後の取引継続や量産に進めるかどうかは、スタートアップ側の準備にかかっています。
大企業にとっての意味
一方、大企業側にとっても、この制度は単なるコスト補助ではありません。
- 新技術の探索
- オープンイノベーションの実証
- 将来の事業提携の種まき
を、リスクを抑えながら進められる仕組みといえます。
特に、これまで「PoC止まりで終わってしまう」ことが多かった企業にとっては、実取引に踏み出す後押しになる可能性があります。
まとめ
今回の試作品購入支援は、まだ正式な公募制度として発表されたものではありませんが、制度化される可能性は十分にあります。
スタートアップにとっては、「制度が始まってから考える」のではなく、今のうちに事業化・量産を見据えた準備を進めておくことが重要といえるでしょう。

