解散総選挙で補助金・支援策はどうなる?2026年度予算と暫定予算の影響を整理
高市総理大臣が衆議院の解散を決断し、総選挙が行われる見通しとなりました。
今回の解散は、強い経済の実現に向けた成長戦略について国民の信任を得るとともに、政権基盤の安定化を図る狙いがあるものとみられています。
一方で、政府は2026年度予算案について、3月末までの成立を目指しています。
しかし、解散総選挙に伴い国会審議の時間が十分に確保できなければ、予算案の成立が新年度にずれ込む可能性も否定できません。
こうした状況は、補助金や各種支援策にどのような影響を与えるのでしょうか。
本コラムでは、解散総選挙と予算編成の関係を整理しながら、補助金・支援制度の動きを解説します。
今回の解散総選挙は何を目的としているのか
今回の解散は、成長戦略を軸とした経済運営について改めて国民の信任を得ることを目的としていると考えられます。
政権基盤が安定すれば、予算編成や政策実行においても一定のスピード感が確保しやすくなります。
逆に、選挙結果によっては国会運営が不安定になり、法案や予算の審議が長引く可能性もあります。補助金や支援策は、こうした政治日程の影響を受けやすい分野の一つです。
2026年度予算が成立しない場合に起こること
通常、新年度予算は3月末までに成立し、4月1日から本予算に基づく行政運営が始まります。
しかし、国会審議が間に合わない場合、政府は応急的な措置として「暫定予算案」を編成し、国会に提出することになります。
暫定予算は、あくまで本予算が成立するまでの「つなぎ」として編成されるもので、期間や内容は限定的になります。
暫定予算で優先される支出・されにくい支出
暫定予算で計上される主な経費
暫定予算では、国民生活や行政運営に直結する必要不可欠な経費が優先されます。
具体的には、
- 年金や生活保護費
- 公務員の給与
- 地方交付税
などが代表的です。
これらは支払いが止まると大きな混乱を招くため、暫定予算でも確保されることになります。
新規・拡充政策はどう扱われるのか
一方で、新年度から新たに始まる政策や、制度を拡充するための予算については、本予算の成立を待って判断されるケースが多くなります。
2026年度予算案には、私立高校を含めた高校授業料の無償化や、小学校給食費の負担軽減などが盛り込まれていますが、暫定予算が編成される場合、これらの施策についても実施時期や方法の調整が必要になる可能性があります。
補助金・支援策への影響はどう考えるべきか
では、補助金や事業者向け支援策はどうなるのでしょうか。
一般的に、すでに実施されている補助金制度については、継続されるケースが多いと考えられます。
一方で、
- 新たに創設される補助金
- 補助額や対象を拡充する制度
については、本予算成立後に具体化されることが多く、公募開始時期が後ろ倒しになる可能性があります。
また、政治日程が不安定な局面では、限られた予算を確実に執行するため、要件確認や審査がより厳格になる傾向も見られます。
採択されれば自動的に進む、というよりも、事業計画や実施体制の妥当性がより重視される局面といえるでしょう。
選挙結果によって補助金・支援策の「出方」はどう変わるのか
どの政党がどれだけ議席を獲得するのか、などを予想することはできません。
ただし、過去の予算編成や制度運用の傾向を見ると、政権の安定度や財政スタンスによって、補助金や支援策の出方に一定の違いが見られます。
ここでは、代表的なケースごとに、補助金・支援制度の動きやすい方向性を整理します。
与党(特に自民党)が安定多数となった場合
与党が安定した議席数を確保した場合、政権運営や予算編成が比較的スムーズに進みやすくなります。
この場合、
- 既存の補助金制度は「継続」や「微修正」にとどまるケースが多い
- 大型の補正予算が編成されやすく、設備投資や成長分野向けの支援策が出やすい
といった傾向があります。制度の枠組み自体は大きく変えず、重点分野に予算を上乗せする形が取りやすいといえます。
野党が議席を伸ばし、与党が不安定になった場合
与党の議席が伸び悩み、国会運営が不安定になる場合、政策決定や予算審議には時間を要する傾向があります。
このような局面では、
- 新規補助金や新たな支援制度の立ち上げが遅れやすい
- 既存制度についても「見直し」や「点検」が強調されやすい
といった動きが見られます。結果として、制度自体が止まるわけではなくても、公募開始時期や制度内容の確定が後ろ倒しになるケースが想定されます。
積極財政寄りの勢力が強まった場合
経済対策や成長投資を重視する、いわゆる積極財政寄りの考え方が政策の中心となる場合、
- 補助金・給付・支援策は比較的出やすくなる
- 予算規模が大きくなる一方で、政策目的を明確にするため要件が厳格化しやすい
という傾向があります。
採択件数を増やすよりも、「確実に効果が見込める事業」に絞る運用が取られることも少なくありません。
財政規律重視の姿勢が強まった場合
一方で、財政健全化や歳出抑制を重視する流れが強まると、
- 新規補助金の創設は抑制されやすい
- 税制優遇、金融支援、既存制度の活用に軸足が移る
といった方向性が見られます。
この場合、補助金そのものよりも、税制改正や融資制度と組み合わせた支援が重要になります。
いずれの場合でも共通して言えること
どのような選挙結果になったとしても、補助金や支援制度が「突然すべて止まる」ということは現実的ではありません。
一方で、制度の開始時期、内容の詳細、運用の厳しさは、政権の安定度や財政方針によって左右されやすい点には注意が必要です。
事業者が今、意識しておきたいポイント
解散総選挙や予算編成の行方は、個々の事業者が直接コントロールできるものではありません。しかし、次のような点を意識しておくことで、制度を活用しやすくなります。
- 公募開始を待つだけでなく、事前に事業計画や見積を整理しておく
- 予算成立後は短期間で公募が始まる可能性があることを想定する
- 「制度が動き出してから考える」のではなく、「動いたときにすぐ動ける」状態をつくる
政治が動く局面ほど、準備の差が結果に影響しやすくなります。
まとめ
解散総選挙が行われるからといって、補助金や支援策が直ちに大きく変わるわけではありません。ただし、予算成立のタイミング次第では、新規制度の開始や公募スケジュールに影響が出る可能性はあります。
補助金や支援制度を検討する際には、制度内容だけでなく、政治日程や予算編成の動きも含めて読み取る視点が重要になります。先行きが見えにくい時期だからこそ、冷静に情報を整理し、備えておくことが求められます。


