創業前に知っておきたい「事業の型」の違い|成功確度を高める基礎知識
創業を考えるとき、多くの方が「何を売るか」「どう集客するか」から考え始めます。
しかし実はその前に、ビジネスの土台となる事業の型(ビジネスモデルの基本構造)を理解しておくことが重要です。事業の型を誤ると、必要な資金、初期投資、収益が出るまでの期間が大きくズレてしまいます。
本コラムでは、創業前に知っておきたい主要な事業の型をわかりやすく整理し、それぞれの特徴や向き不向きを解説します。事業の型は「良し悪し」ではなく「適合性」が重要です。あなたの描く事業が、どの型に近いのかを確認しながら読み進めてみてください。
事業の型とは?創業時に理解すべき理由
事業の型とは、ビジネスモデルの骨格部分を指します。
「どのように価値を提供し、どう収益を得るか」という基本構造であり、大まかにいえば以下の3つの要素で決まります。
① 商品・サービスの種類
② 提供方法(仕組み・体制)
③ 収益の取り方(単発・継続・販売・受託)
そして、この型が明確になることで、初期資金、必要なスキル、人員計画、販路設計、リスク管理といった、創業に欠かせない要素が自然と見えてきます。
逆にいえば、型を把握していないと、事業計画書を作っても方向性が定まらず、「何がボトルネックなのか」が曖昧なままになってしまいます。だからこそ、創業前に型を知ることは大きな意味を持つのです。
創業時によく見られる4つの事業の型
ここでは、創業者が選ぶことの多い4つの一般的な型を紹介します。どれが優れているわけでもなく、それぞれにメリットと注意点があります。
① 受託型ビジネス(サービス提供型)
コンサルタント、士業、デザイナー、建設工事、クリーニング、修理サービスなど、顧客から依頼を受けてサービスを提供し、対価を得る型です。
【長所】
- 初期費用が比較的少なく、始めやすい
- 利益率が高くなりやすい
- 専門性・スキルを価値に転換しやすい
【短所】
- 人に依存しやすい(自分が動かないと売上が立たない)
- 時間の上限が売上の上限になりやすい
- 営業力が必要になることも多い
【向いている人】
スキルや資格を活かしたい方、初期資金を抑えたい方、顧客と直接関わる仕事が得意な方。
② 小売・物販型ビジネス
EC販売、ネットショップ、仕入販売、店舗小売など、商品を仕入れ、販売して利益を得る型です。
【長所】
- 仕組みが確立すれば売上の上限を伸ばしやすい
- 販路を複数持つことで安定性を確保できる
- 在庫や商品ラインナップで差別化できる
【短所】
- 在庫リスクが常につきまとう
- 資金繰りが厳しくなりがち
- 物流、撮影、管理業務など、手間が多い
【向いている人】
販売が好き、商品企画が得意、データ分析が得意、オンライン販路に強い方。
③ 製造・商品開発型ビジネス
食品製造、自社ブランド開発、D2C商品など、自社で商品を生み出し、それを販売する型です。
【長所】
- 独自性を出しやすく、長期的にブランド化しやすい
- 高付加価値商品を生みやすい
- 営業マンがいなくても売れる仕組みを作れる可能性がある
【短所】
- 初期投資が大きく、設備や開発費がかかる
- 売れるまでの時間が長くなりやすい
- 需要予測・品質管理など、専門性が必要
【向いている人】
ものづくりに強みがある方、長期的なブランド育成を重視する方、初期投資ができる方。
④ サブスク・継続課金型ビジネス
オンラインサービス、定期購入、会員制、教室など、顧客に継続して価値を提供し、毎月の収益を積み上げていく型です。
【長所】
- 収益が安定しやすい
- 一人ひとりの顧客価値(LTV)が高くなる
- 小規模でも高収益モデルに育てられる
【短所】
- 初期は顧客獲得に時間がかかりやすい
- 解約率(チャーン)が重要な指標となる
- 顧客管理の仕組み、継続理由の設計が必要
【向いている人】
継続的にコンテンツを作れる、コミュニティ運営が得意、顧客フォローを丁寧にできる方。
型によって変わる「必要資金」「販路」「リスク」
事業の型を理解すると、創業計画で見落としがちなポイントが自然と明らかになります。
受託型: 初期資金は少ないが、営業力や専門性が必要
物販型: 在庫管理と資金繰りが最重要
製造型: 初期投資の回収計画が事業の肝
サブスク型: 初期は売上が少なく、育つまで時間がかかる
創業者にとって大切なのは、「やりたいこと」と「型の特徴」が一致しているかどうか。
例えば「副業で始めたい」「早く収益化したい」という方にとって、製造型はハードルが高いかもしれません。逆に、ブランドを長期育てたい方なら製造型は強い戦略になります。
創業前チェックリスト|あなたの事業はどの型に近い?
最後に、あなたの事業がどの型に近いかを確認するためのチェックリストを紹介します。
- 提供する価値は「サービス」か「商品」か
- 初期投資はどの程度必要か
- 売上の中心は「単発」か「継続」か
- 収益化までにどれくらい時間がかかるか
- 自分の強み・性格と相性が良い型はどれか
- その型のリスクは許容できるか
このチェックをしておくだけで、事業計画書の構成が明確になり、「どこに力を入れるべきか」が見えやすくなります。
まとめ|型を理解すれば創業の失敗率は下がる
事業の型は、創業前の最重要ポイントとも言えるほど大切です。
自分のアイデアがどの型に当てはまるのかを知ることで、必要な準備とリスクが整理され、成功確度は大きく上がります。
創業は“思い”だけでも“分析”だけでも進みません。
事業の型という土台を理解したうえで、自分に合ったスタイルを見つけてみてください。
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