人手不足時代に「補助金でできる業務改善」とは──省力化投資補助金で広がるAI・デジタル化の可能性
少子高齢化が進み、多くの企業で人手不足が慢性化しています。
中小企業の約70%が「人手不足」と回答しています。また、うち約60%以上は事業に影響する状態と回答しており深刻さがうかがえます。(日本商工会議所2023年アンケート調査より)
人手不足対策としてどのようなことが考えられるのか、またその際に利用できる補助金とは?
本コラムでは、人手不足時代に「補助金でできる業務改善」について解説します。
なぜ今「業務効率化」が企業の最重要課題なのか
昨今、多くの企業が「人手を増やす」だけでは限界を感じています。特に中小企業・小規模事業者にとっては、採用コストや離職リスクが大きな負担になりがちです。
特に中小企業では、1人が複数業務を兼任しているケースが多く、属人的な作業のままでは業務の停滞やミスの発生につながりかねません。業務の標準化やデジタル化は、もはや生き残りの条件といえるでしょう。
そこで戦略的に取り組みたいのが、業務効率化=「人に頼らない仕組みづくり」です。
政府としても、「生産性向上」や「働き方改革」を重点政策に掲げており、省力化・効率化を支援する補助金制度が相次いで整備されています。製造業だけでなく、サービス業や小売業など、あらゆる分野で「人手不足を前提とした経営」への転換が進んでいます。
その流れの中で、AIやRPAといったテクノロジーの活用は、現場の実務を支える新たな手段として注目されています。
省力化投資補助金(一般型)という強力な武器
現在、最も注目度が高い補助制度のひとつに、中小企業省力化投資補助金(一般型)があります。
この制度の概要は次の通りです。
対象:中小企業・小規模事業者など
補助上限額:750万円~1億円
補助率:1/2~2/3
対象経費:機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費
第4回公募スケジュール:
申請受付開始日:2025年 11月上旬(予定)
公募締切日:2025年 11月下旬(予定)
採択発表日:未定
補助金を得るには「労働生産性の向上目標を実証できる」計画や、導入後の報告義務があり、計画性が不可欠です。
中小企業省力化投資補助金(一般型)について詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
具体的な導入例
省力化投資補助金では、「人手不足の課題に対して、作業の自動化・デジタル化によって生産性を高める」取組が幅広く対象になります。
ここでは、さまざまな業種で活用できる具体的なイメージを紹介します。
製造業の例
製品の検品や包装作業に時間を要していた工場で、画像認識AIによる外観検査システムと自動包装機を導入。
作業時間を短縮しながら品質を均一化し、担当者1人あたりの処理量が大幅に向上。
通信販売業の例
オンライン注文の急増に対応するため、自動梱包機と倉庫管理システム(WMS)をオーダーメイドで開発・導入。
在庫のリアルタイム把握と出荷工程の自動化により、従来よりも少人数で出荷対応が可能になり、繁忙期の外注コストを削減。
飲食業の例
調理工程の標準化を目的に、自動調理機器とPOSデータ連携による在庫管理システムを導入。
調理時間の短縮と食材ロスの削減を両立し、スタッフ教育の時間も削減できた。
小売業の例
店舗ごとの販売動向を分析するため、POSデータとAI分析ツールを組み合わせ、在庫補充や発注を自動化。
仕入れ・棚卸し業務を効率化し、店長の管理負担を軽減。
補助金は、導入コストを軽減し、新しい仕組みを試す「きっかけ」として非常に有効です。しかし、補助金でツールを導入しただけでは、業務改善は完成しません。
補助金を活用した業務改善の成功に向けて
効率化を実現するには、業務フロー全体の見直しと、現場での運用の定着が欠かせません。
たとえば、RPAを導入しても、手作業での確認工程が残っていれば効果は限定的です。AIチャットボットも、社内での運用ルールが明確でなければ活用が進みません。
つまり、「どの業務をどの順序で自動化・効率化するか」を見極める計画設計が最重要なのです。
計画づくりに専門家のサポートも選択肢のひとつ
このような計画づくりには、外部の専門家との連携も有効です。行政書士など、補助金申請や事業計画策定の経験を持つ専門家が関与することで、無理のないスケジュール設計や報告体制の整備が可能になります。
補助金を使い切るのではなく、成果につなげる視点を持つことが、業務改善を持続させる第一歩といえるでしょう。
麹町キャピタルマネジメント株式会社では、省力化投資補助金申請サポート受付中です
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業務効率化に使える補助金は他にもある?
以下は、業務効率化との親和性が比較的高い補助金の例です。
ものづくり補助金
生産プロセス改善を目的とした設備投資・システム導入に対して支援。
小規模事業者持続化補助金
販路開拓だけでなく、業務効率化に資する取り組みも対象となることがある。
大規模成長投資補助金
中堅・中小企業が大規模な省力化投資を実施する際の補助制度(地域雇用・賃上げを前提)
まとめ:補助金をきっかけに、仕組みの質を上げる
補助金は非常に有用な導入支援ツールですが、重要なのは「どのように運用して成果につなげるか」です。
AIツールやRPAを導入するときには、単に導入できたで終わらせず、業務フロー・運用設計・定着・改善サイクルを回すことを念頭に置くことが大切です。