【最新2025年2次】グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金とは?活用ポイントを解説
グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金は、次のような事業者に紹介したい補助金制度です。
- 新興国や同志国との技術提携・共同開発を検討している企業
- 現地市場向けの製品開発・販路開拓を進めたい企業
- 海外拠点設立や人材交流事業を計画している団体
令和8年度概算要求では、海外展開や国際連携に関する事業が複数示されました。
その中で新たに注目されるのが、「グローバルサウス未来志向型共創等事業」です。本事業は新規に32億円が計上されており、新興国や同志国との経済連携を強化し、国際ルール形成を後押しすることを目的としています。
今回の予算要求は当初予算での常設化の流れと捉えることができます。
国内企業がグローバルサウス諸国との共創事業に参加することで、国際的な協力や市場開拓の機会を活かすことが期待されています。
▶ 令和8年度概算要求から読む ― 海外展開支援とグローバルサウス戦略 で解説しています。
本コラムでは、「グローバルサウス未来志向型共創等事業」について解説します。
グローバルサウス未来志向型共創等事業とは?―グローバルサウス向け補助金
グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金は、経済産業省が実施する海外展開支援の補助金で、日本企業とグローバルサウス諸国との協業・共創事業を後押しするものです。
GX、DX、経済安全保障といった分野において、技術提携、共同開発、現地市場向け製品開発、販路開拓、人材交流、海外拠点設立などの取り組みを支援します。
海外展開に伴うリスクを軽減しながら、日本の強みを活かした国際的なビジネス連携を促進することを目的としています。
グローバルサウスとは? ― グローバルサウス向け補助金
「グローバルサウス」とは、従来「途上国」と呼ばれてきた地域の国々を指します。
具体的に、グローバルサウス諸国とは、ASEAN、南西アジア、中央アジア・コーカサス、中東、アフリカ、中南米、太平洋島嶼国等です。対象国の判断に迷う場合は、補助金事務局に相談してください。
経済発展の段階や国際的な影響力に差がありますが、共通して「新しいビジネスや技術協力の機会が期待される地域」として注目されています。
どんな事業者が申請できるの?―グローバルサウス向け補助金対象事業者
この補助金は、企業規模に関係なく、国内の法人・個人事業主が対象となります。
中小企業庁が定める「中小企業」の定義に該当する企業や、大企業も含め、幅広い事業者が応募可能です。
どんな事業が対象なの?―グローバルサウス向け補助金
対象となる分野
① GX分野:化石燃料からクリーンなエネルギー利用への転換を図る案件
② DX分野:デジタル技術を用いて、ビジネスモデルの変革を図る案件
例:エネルギー×DX、航空・宇宙×DX、半導体×DX、医療・ヘルスケア×DX、 CE×DX、防災・気候変動×DX、農林水産×DX、交通・物流×DX、都市計画× DX等
③ 経済安保分野:「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律施行令」で指定された「特定重要物資」に係る案件
対象となる事業形態
① FS事業
グローバルサウス諸国において、案件組成段階で事業化の可能性を調査する事業。
具体的には、実行可能性、採算性などを調査することを指します。調査・ 検討する内容は、事業の外部要因として政治、法制、規制、 経済、技術動向、自然環境、社会環境といったマクロ環境 と、業界の動向、市場調査、競合状況、財務的可能性 ( IRRを含む)等の個別案件のミクロ環境の調査を含むものとします。
② 実証事業
実地に適用可能な段階にある技術・システム・制度などを、グローバルサウス諸国において、その有効性や経済性などを確認すること。
商用に向けたスケール化を目指す実証です。
事業類型
次の3つの事業類型のうち、いずれかに該当する必要があります。複数の類型に当てはまる事業での応募も可能です。
類型1:我が国のイノベーション 創出につながる共創型
類型2:日本の高度技術 海外展開型
類型3:サプライチェーン 強靱化型
いくらもらえるの?―グローバルサウス向け補助金
補助上限額
① FS事業:1億円
② 実証事業:5億円
補助率
1/2以内、中小企業のみ2/3以内
対象経費は?―グローバルサウス向け補助金
人件費、旅費、会場費、消耗品費など幅広い経費が対象となります。

土地・建物等施設に関する経費 ・実証場所以外に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費などは対象外です。
スケジュールは?―グローバルサウス向け補助金
- 申請受付開始:2025年11月4日
- 締切:2025年11月26日
また、オンライン形式の公募説明会が開催されるので検討されている方は要チェックです。
開催日時:2025年11月10日(月)14時00分~15時00分
参加を希望する場合は、11月6日(木)16時までにメールを送り参加登録をする必要があります。
▶詳しくは募集要領をご覧ください。
会計上のポイント:圧縮記帳の適用―グローバルサウス向け補助金
この補助金は、圧縮記帳の適用が可能です。
圧縮記帳とは、補助金を受け取った際に資産計上する費用を圧縮することで、課税所得を圧縮できる会計処理方法です。
具体的には、補助金交付により取得した設備等の取得価額から補助金額を控除して計上でき、法人税の課税対象を軽減する効果があります。
ただし、圧縮記帳の適用には要件や手続きがありますので、実務上は税理士や会計士と確認しながら進めることが望ましいです。
こちらのコラムで詳しく解説しています。
まとめ
今回の令和8年度概算要求では、「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」が新規事業として計上され、海外展開・国際連携支援の柱のひとつとなる見込みです。
補助金は単なる資金支援ではなく、国際的なネットワークを築くチャンスでもあります。事業計画とパートナー候補の検討を始めておくことが重要です。
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