省力化投資補助金の交付申請、代理できるのは誰? ─ 行政書士法での制限がマニュアルに明記
以前のコラム「行政書士法改正2026年施行へ|補助金申請支援のあり方が変わります」では、行政書士法の改正により補助金申請支援のルールが明確化されることをご紹介しました。
今回ご紹介するのは、その改正を待たずに「省力化投資補助金(一般型)」の交付申請マニュアルにおいて、代理申請に関する制限が明文化された という最新の動きです。
2025年8月29日付で公開された「省力化投資補助金(一般型)電子申請マニュアル(交付申請)」には、重要な一文が追加されました。
本事業の交付申請では、申請の手続きを中小企業に代わり第三者が行うことができます。ただし、報酬を受けて官公署に提出する申請手続きの代理で行う者は、行政書士法にて行政書士等に限られています のでご注意ください。
この一文が示すのは、補助金申請の代行を「誰ができるか」という法的な線引きです。
詳しく解説していきます。
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行政書士法との関係は?
行政書士法ではすでに規定されている
実はこのルールは、今回のマニュアル更新で新しくできたものではありません。
行政書士法には、従来から次のような条文があります。
行政書士法 第1条の2(業務)
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。
つまり、報酬を得て官公署に提出する書類の作成や申請手続きを「業」として行えるのは行政書士(または弁護士などの一部士業)に限られる、という仕組みはすでに存在していました。
一方で、
- 自社内の従業員が申請を担当する
- 報酬を伴わずに知人が入力補助をする
といったケースは、行政書士法の規制対象外です。
ただし、補助金の電子申請マニュアルなどで明確に記載されていなかったため、実務では「無資格コンサルによる代行」がグレーな形で行われてきました。
今回の明記の意義とは?
これまでも法律上は同じルールがありましたが、補助金の実務では「無資格コンサル」が代行している例もあり、グレーな扱いが続いてきました。
今回、電子申請マニュアルに直接「行政書士法に限られる」と明記された ことにより、事務局側が公式にルールを強調し、利用者への注意喚起を強めたといえます。
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2026年の行政書士法改正との関連は?
すでに以前のコラム「行政書士法改正2026年施行へ|補助金申請支援のあり方が変わります」で取り上げたように、2026年には行政書士法の改正が施行され、補助金申請支援のあり方がさらに整理される予定です。
今回のマニュアルへの追記は、そうした制度改正の流れを先取りし、補助金申請に関する「適正な代理関係」を明示したものと考えられます。
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まとめ――補助金申請に関する「適正な代理関係」を明文化
- 行政書士法は、もともと報酬を得て官公署に提出する書類の作成・代理は行政書士等に限定していた
- 今回のマニュアル更新で、その点があらためて明文化された
- 2026年の行政書士法改正では、補助金申請支援のあり方がさらに明確化される
補助金を利用する際には、「誰に申請を頼むか」 に注意し、適正な専門家と連携することが安心につながります。