最低賃金引上げと補助金要件の改正──省力化投資補助金第4回公募にも反映
2025年度の最低賃金は、全国加重平均で1,121円と過去最大の引上げ幅となりました。
人件費の上昇は中小・小規模企業にとって大きな負担となる一方で、賃上げを社会全体で実現していくためには、価格転嫁や生産性向上といった多面的な支援が欠かせません。
経済産業省では、こうした課題に対応するため「価格転嫁対策」「補助金や税制による支援」「生産性向上支援の強化」といった総合的な施策を打ち出しています。
本コラムでは、その一環として位置づけられているのが、ものづくり補助金や省力化投資補助金における要件緩和について解説します。
ものづくり補助金、省力化投資補助金(一般型)などの要件緩和 ― 最低賃金引上げ対応支援策
中小・小規模企業の生産性向上の賃上げ支援機能の強化の支援策として、「ものづくり補助金」や「省力化投資補助金」などに設けられている最低賃金引上げ特例の要件を見直しました。
最低賃金引上げ特例は、要件を満たせば通常より高い補助率(1/2から2/3に引上げ)で支援するものです。
現行制度では?
これまでは、最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全体の30%以上いる企業が特例の対象でした。
積極的に賃上げを実行している企業を後押しする仕組みです。
改正内容は?
今回の改正では、改定後の最低賃金未満で雇用している従業員が30%以上いる企業も対象に含められました。
つまり「最低賃金引上げの影響を強く受けやすい企業」にも補助金が届くよう、制度の間口を広げたのです。
省力化投資補助金第4回公募での反映 ― 最低賃金引上げ対応支援策
今回の改正内容は、2025年9月に公開された「省力化投資補助金(第4回)」の公募要領にも反映されています。
1.大幅賃上げに係る特例要件(従来からある仕組み)
- 給与支給総額を年平均成長率+6.0%以上とする事業計画を策定
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上に設定
クリアすると補助率引上げ
この特例は、積極的に賃上げを進める企業を後押しするために設けられてきました。
2.最低賃金引上げ特例(今回新たに追加)
- 2024年10月~2025年9月の間に、「地域別最低賃金以上~改定後最低賃金未満」で雇用する従業員が全体の30%以上となる月が3か月以上あること
→ 該当すると補助率が1/2から2/3に引き上げられる
最低賃金の引上げによる影響を強く受けやすい事業者にも補助が届くよう、支援の対象範囲を広げた形です。
つまり、
- 大幅賃上げ特例=従来からある『積極的に賃上げする企業』の後押し
- 最低賃金引上げ特例=今回新たに追加された『最低賃金引上げで影響を受けやすい企業』への支援
この2つが並立している形になります。
支援の厚みが増す ― 最低賃金引上げ対応支援策
今回の見直しにより、最低賃金引上げの影響を受ける企業には、
- 補助率が上がる(1/2 → 2/3)
- 採択審査での加点措置がある
といった優遇が加わります。つまり、影響を受けやすい企業ほど有利に働く仕組みです
制度の狙い ― 最低賃金引上げ対応支援策
このように、第4回公募要領に明記された特例は、国の政策意図を直接反映したものです。
- 賃上げ努力を続ける企業をしっかり後押しすること
- 最低賃金の引上げに直面する企業にも支援を広げること
この両方を制度に組み込み、賃上げを社会全体で支えていく姿勢が表れています。
まとめ ― 最低賃金引上げ対応支援策
最低賃金の大幅な引上げは、中小企業にとって避けられない課題です。その中で、補助金制度の見直しは「努力する企業」と「影響を受ける企業」の双方を支援する狙いを持っています。申請を検討する際には、自社がどの特例に該当するかを確認し、前向きに活用することが重要です。
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