東京都助成金|躍進的な事業推進のための設備投資支援事業【第11回募集】概要と申請ポイント整理

2025年12月17日、東京都より「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」第11回募集の実施が公表されました。

本助成金は、都内中小企業者等が行う機械設備やソフトウェアの導入を支援する制度で、競争力強化やDX推進、事業承継後の新たな挑戦など、幅広い事業展開が対象となっています。


本コラムでは、過去の募集内容を踏まえつつ、第11回募集で改めて押さえておきたい制度の概要と申請スケジュールのポイントを整理します。

躍進的な事業推進のための設備投資支援事業とは

「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」は、東京都が実施する中小企業向けの設備投資支援制度です。

都内中小企業者等が、製品・サービスの質的向上や生産性向上を目的として行う機械設備やソフトウェアの導入に対し、その経費の一部が助成されます。
本事業は令和3年度から継続して実施されており、競争力強化やDXの推進、事業承継後の新たな取組など、企業の成長段階に応じた幅広い事業展開が対象となっている点が特徴です。

第11回募集の概要(2025年度第3回)――躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

2025年12月17日、第11回募集(2025年度第3回)の実施が公表されました。

今回の募集においても、全業種が対象となっており、基準日現在で東京都内に本店または支店を有し、2年以上事業を継続している中小企業者等が申請可能です。


また、本助成金では、設備投資と併せて賃金引上げ計画の策定・実施が要件とされており、都内中小企業の持続的成長と人材確保を後押しする制度設計となっています。

助成対象となる事業区分――躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

本助成金では、導入する設備や事業内容に応じて、以下の5つの事業区分が設けられています。自社の設備投資計画が、どの区分に該当するかを整理することが、申請準備の第一歩となります。

Ⅰ 競争力強化


 既存事業の発展に向け、競争力を高めるための設備導入を行う事業。

Ⅱ DX推進


 IoTやAI、ロボットなどのデジタル技術を活用し、新たな製品・サービスの構築や業務変革を目指す事業。

Ⅲ イノベーション


 都市課題の解決に貢献し、市場拡大が期待される分野で新事業活動に取り組む事業。

Ⅳ 後継者チャレンジ


 事業承継を契機に、後継者が新たな経営課題や事業多角化に取り組むための事業。

Ⅴ アップグレード促進


 地域経済の中核企業として成長することを目指し、大規模な設備投資を行う事業。

助成率・助成額――躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

助成率および助成額は、事業区分や企業規模、賃金引上げ計画の達成状況によって異なります。
賃金引上げ計画を計画どおり実施した場合、中小企業者は最大4分の3、小規模企業者は最大5分の4という高い助成率が設定されています。

助成額は原則として100万円から1億円、アップグレード促進区分では最大2億円までとされています。
一方で、賃金引上げ計画が達成できなかった場合には、助成率が引き下げられるため、計画の実現可能性については慎重な検討が必要です。

助成率・助成額の表

※賃金引上げを計画に沿って実施した場合の助成率

※アップグレード促進区分においては、ゼロエミ要件も必須

ゼロエミ要件
 省エネ設備を導入した事業への取組を希望する場合で、省エネ効果が高いと見込まれる事業計画の場合は助成率が高くなります。

賃上げ要件
賃金引上げ計画書」などの書類を総合的に判断し、計画の実効性が高いと見込まれる事業計画について助成率が高くなります。

助成対象経費・助成対象期間――躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

助成対象となる経費は、事業に必要な機械装置、器具備品、ソフトウェアの導入経費です。

単なる更新や老朽化対応ではなく、事業の発展につながる設備投資であることが求められます


助成対象期間は、交付決定日の翌月1日から1年6か月間とされており、比較的長期間にわたる事業実施が可能です。

また、設備の設置場所については、一定の条件を満たせば都外設置も認められています

第11回募集の申請スケジュール――躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

申請に先立ち申請予約期間が設けられています。申請予約後、国の電子申請システム「Jグランツ」を利用して申請を行う流れとなります。
申請後は、書類審査(一次審査)面接による審査(二次審査)を経て、助成対象者が決定されます。

設備導入の開始は、助成対象者決定後となるため、スケジュール全体を見据えた準備が重要です。

これから準備しておきたいポイント――躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

本助成金の申請に向けては、設備の内容だけでなく、なぜその設備投資が必要なのかどのように事業成長につながるのかを整理しておくことが重要です。


特に、事業計画と賃金引上げ計画の整合性は審査上の重要なポイントとなるため、無理のない計画を立てることが求められます。公募開始後に慌てて準備するのではなく、早めに情報収集と検討を進めておくことが望ましいでしょう。

申請サポートの活用も選択肢のひとつ――躍進的な事業推進のための設備投資支援事業を活用しましょう

「制度の用語が難しくてよく分からない」「書類作成の時間が取れない」と感じる方は、専門家のサポートを活用することで、申請の確度と効率を高めることができます。

当社では、これまでに多数の補助金申請をご支援しており、初めての方にも丁寧な対応を心がけています。

まとめ――躍進的な事業推進のための設備投資支援事業

「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」は、都内中小企業にとって引き続き注目度の高い設備投資支援制度です。


設備投資を検討している企業にとっては、制度の内容やスケジュールを正しく理解し、自社の事業計画にどのように活用できるかを整理することが重要になります。今後公表される詳細情報も確認しながら、計画的に準備を進めていきましょう。