補助金と助成金の違いとは?仕組み・使い分けをわかりやすく解説

事業者向けの支援制度として代表的な「補助金」と「助成金」。似たように見えて、申請方法や採択の仕組み、対象となる事業内容には違いがあります。

また、「東京都の補助制度なのに助成金と呼ばれているのはなぜ?」という疑問も多く聞かれます。

本記事では、両者の違いをわかりやすく整理するとともに、名称の使われ方に関する地域差や実務上の背景についても解説します。

補助金と助成金の基本的な違い

補助金

補助金は、経済産業省や地方自治体などが行う政策の一環として交付されます。
たとえば、以下のような目的で活用されます

  • 中小企業の設備投資促進
  • 地域活性化
  • IT導入支援 など

特徴

  • 審査・選考がある(採択制)
  • 予算に限りがあるため、申請しても必ずもらえるわけではない
  • 事業完了後に経費を清算して受け取る「後払い」形式が一般的

助成金

助成金は、主に厚生労働省系の制度が中心で、雇用・労働環境の改善などを目的としています。

例)

  • キャリアアップ助成金
  • 両立支援等助成金
  • トライアル雇用助成金 など

特徴

  • 条件を満たせば基本的に支給される(非競争)
  • 事前の計画書提出が必要なものもある
  • 社会保険や就業規則の整備状況などが審査対象になることがある

比較表は次の通りです。

東京都の制度はなぜ「助成金」なのか?

「助成金=雇用系の制度」と思っている方にとって、東京都の補助制度が“助成金”と呼ばれているのは違和感があるかもしれません。

実はこれは、法令上「補助金」と「助成金」に厳密な定義がないために起きる、行政用語としての慣例によるものです。

一般には「助成金=条件さえ満たせば受給できる」「補助金=審査に通らなければもらえない」というイメージがありますが、東京都の“助成金”はこのイメージに必ずしも当てはまりません。

国の補助金(例:ものづくり補助金)との区別のために、地方自治体(東京都など)は独自の制度に「助成金」という名称を用いることが多いです。

東京都の「助成金」の多くは、実質的には補助金型(審査・採択・後払い方式)

例:「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」「TOKYO戦略的イノベーション促進事業」新製品・新技術開発助成事業」など

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使い分けのヒント(制度選びの考え方)

まとめ

補助金と助成金の違いは、主に「審査の有無」と「目的」の違いです。

名称と制度内容は一致しないことがあります。

特に東京都では、補助金的な制度も「助成金」という名称で呼ばれることが多いです。

制度を正しく理解し、自社に適した支援を選びましょう。