中小企業経営強化税制の拡充及び延長 ~100億企業を目指す中小企業の成長を後押し~
企業が成長するには設備投資が不可欠です。
その設備投資を後押しする制度に、中小企業経営強化税制があります。
この制度は2025年3月末に期限が切れますが、経済産業省が2025年度の税制改正で、売上高100億円以上の「100億企業」を目指す中小企業の設備投資に対し、新たな優遇措置を要望することが2024年8月19日に報じられました。

中小企業経営強化税制とは
中小企業を対象とし、設備投資による企業力の強化や生産性向上を後押しするものです。
設備投資を行った際に、即時償却または取得価額の10%の税額控除(資本金の額等が3,000万円超1億円以下 の法人は7%)が選択適用できるという制度です。
即時償却と税額控除とは具体的にどういうことでしょう?
即時償却と税額控除とは?
中小企業経営強化税制は即時償却または税額控除どちらかを選択適用できるものです。
即時償却
設備投資などにかかった費用は「減価償却」で処理します。(減価償却とは建物や機械などの耐用年数に応じて分割して経費として計上していくものです。)
これに対し、「即時償却」は分割せずに一括で経費として計上できます。
これにより、その年の利益が減るので法人税を抑えることができます。
税額控除
税額控除は、設備費用にかかる税金を控除してもらえる制度です。
取得価額の10%の税額控除が受けられます。(資本金の額等が3,000万円超1億円以下の法人は7%)
即時償却ほど即効性はありませんが、長期的に見ると節税になります。
どちらを選択するかは、会社の状況などを見て決めていきましょう。
中小企業経営強化税制の拡充及び延長について
この税制は2026年度末まで延長され、設備投資を通じた企業成長をより強力にサポートする仕組みとなります。特に、売上高100億円を目指す企業に向けた新たな優遇措置が追加されました。
主な変更点
- 適用期限の延長
- 2026年度末(令和8年度末)まで延長。
- 100億企業を目指す企業向けの支援強化
- 設備投資計画の中に「売上高100億円達成に向けたロードマップ」の作成を必須要件とする。
- 工場ラインや店舗など、生産性向上につながる建物の新設・増設も税制優遇の対象に追加。
- 建物の新増設に伴う賃上げへのインセンティブ
- 企業が新たに建物を建設・増設した際に、
- 給与総額が前年度比2.5%以上増加 → 特別償却15%または税額控除1%
- 給与総額が前年度比5.0%以上増加 → 特別償却25%または税額控除2%
- 企業が新たに建物を建設・増設した際に、
- 既存の税制措置の見直し
- C類型(デジタル化設備)を廃止し、A類型(生産性向上設備)・B類型(収益力強化設備)の要件を見直し
100億企業を目指す中小企業に対する税制措置の意義とは?
売上高100億円超の中小企業(100億企業)は、国内外の需要を取り込みながら高い収益を生み出し、生産性向上(イノベーション)を進めることで、従業員の賃上げや地域経済の活性化をリードする存在です。
- 各地域で100億企業を創出することが、経済成長の鍵。
- 現在、国内には100億企業が約4,500社しかなく、さらなる支援が必要。
- 成長意欲のある中小企業が、スムーズに規模を拡大できる環境整備を推進。
今回の税制改正により、100億企業を目指す中小企業にとって、より有利な条件で設備投資を行えるようになります。この制度を活用し、さらなる成長を目指しましょう。
「100億宣言」についてもご覧ください。
