未来を切り拓く中堅企業の成長戦略 〜飛躍への道〜
日本経済の新たな成長エンジンとして注目される「中堅企業」。
「大企業ほどの規模はないが、中小企業よりも影響力が大きい」——
この独自の立ち位置を活かし、中堅企業は日本の経済成長を支える重要な役割を果たしています。しかし、これまで中小企業や大企業に焦点を当てた政策が多く、中堅企業に特化した支援は手薄でした。
そこで今、経済産業省が初めて中堅企業に特化した国家戦略を打ち出し、新たな支援策を整備しようとしています。
本コラムでは、中堅企業の可能性と課題、政府の施策を踏まえながら、未来への成長戦略を探ります。
・中堅企業とは?
・中堅企業に期待される役割は?
・中堅企業の役割は?
・課題解決に向けた成長戦略は?
・国としての施策は?

中堅企業の概要
中堅企業とは?
日本には9,000社の中堅企業が存在し、これは全企業の0.3%に過ぎません。しかし、雇用全体の11%、売上高の20%を占めるなど、経済に与える影響は非常に大きい存在です。
では、中堅企業とは具体的にどのような企業を指すのでしょうか?
- 定義:常時使用する従業員の数が2,000人以下の会社(中小企業を除く)
- 日本における位置付け:
- 企業数:約9,000社(全企業の0.3%)
- 雇用者数:約11%を占める
- 売上高:約20%を占める
中堅企業の特徴
中堅企業は、大企業のような安定した基盤を持ちながらも、中小企業並みの柔軟な経営ができる点が特徴です。
①成長の可能性:投資次第でさらなる発展が可能
②経営の柔軟性:市場の変化に迅速に対応しやすい
③地域経済への貢献:良質な雇用を提供し、地方経済の活性化に貢献
中堅企業に期待される役割は?
中堅企業には、日本経済を牽引する存在として、次のような役割が期待されています。
①国内投資の拡大
国内産業の競争力を維持するために、高付加価値型産業の国内定着が求められています。特に設備投資や研究開発への積極的な資金投入が、中堅企業の成長の鍵となります。
②良質な雇用の創出
地域に根ざした中堅企業は、安定した雇用を生み出すとともに、賃金向上や若手・女性の活躍を推進する役割を担います。
③幅広い波及効果の創出
スタートアップや大学との連携、サプライチェーンの強化、中小企業との協業・M&Aの促進により、日本経済全体の発展に貢献できます。
中堅企業の課題は?
成長投資の不足
設備投資や研究開発への資金が不足しているため、競争力の維持が難しくなっています。また、海外展開においてはリスクが大きく、資金調達が課題となっています。
人材確保の困難
優秀な経営人材・専門人材の確保が難しく、大企業との人材獲得競争で不利な立場に置かれがちです。
ガバナンス強化の必要性
成長ビジョンの策定や、ファミリービジネスの持続可能性を確保するためのガバナンス強化が求められています。
M&Aの活用不足
M&A後の統合(PMI)ノウハウが不足していることや、のれん償却の影響により、積極的な活用が進んでいません。
課題解決に向けた成長戦略
(1) 成長ビジョン・ガバナンス
中堅企業が持続的に成長するためには、経営の高度化が不可欠です。しかし、成長戦略が明確でない企業も多く、ガバナンスの強化が課題となっています。
解決策:
- 企業の方向性を明確にし、社外取締役を積極的に活用する
- ファミリーガバナンスを確立し、次世代経営へのスムーズな移行を図る
(2) 資金調達
成長のための大規模投資を実施するには、十分な資金が必要ですが、中堅企業は資金調達に苦戦するケースが多いです。
解決策:
- 補助金やファンドを活用し、成長投資を支援
- エンゲージメントファンドを創出し、投資家との連携を強化
(3) 人材確保
優秀な経営人材・専門人材の確保が成長の鍵ですが、競争が激化する中で確保が難しい状況にあります。
解決策:
- 金融機関や人材仲介会社を活用し、適切な人材を確保
- 賃上げ促進税制や人的資本経営を推進し、魅力的な雇用環境を整備
(4) M&Aの活用
中堅企業の成長戦略の一つとしてM&Aの活用が挙げられますが、統合プロセスのノウハウ不足が障壁となっています。
解決策:
- M&A支援策(税制優遇、手数料の透明化)を活用
- PMI(買収後の統合)を円滑に進めるためのサポート体制を整備
(5) イノベーション・海外展開
中堅企業がグローバル競争で生き残るには、イノベーションと海外展開が不可欠ですが、研究開発パートナーの不足が課題です。
解決策:
- 産学連携を強化し、技術革新を加速
- NEDOやINPITの活用により、知財戦略を強化

国としての施策は?
政府は中堅企業の成長を促すため、さまざまな支援策を打ち出しています。これらの施策を活用することで、中堅企業はさらなる飛躍の機会を得ることができます。
成長投資促進
中堅企業の成長を支えるために、「中堅・中小大規模成長投資補助金」が用意されています。この制度は、設備投資や研究開発を後押しし、競争力の強化を図るものです。また、研究開発税制の強化やイノベーション支援策の整備も進められています。
資金調達支援
政府系金融機関による融資拡充や、エクイティ活用ガイドブックの作成が行われ、中堅企業が資金調達しやすい環境が整備されています。これにより、事業拡大のための資金調達の選択肢が広がります。中堅企業の設備投資を後押しするため、地域未来投資促進法に基づく「地域未来投資促進税制」に中堅企業枠を創設しました。
人材確保・育成支援
地域の人材マッチング支援や人的資本経営コンソーシアムの拡大が進められ、経営人材や専門人材の確保を支援する施策が整えられています。企業の魅力を高めるための働き方改革や、多様な人材が活躍できる環境整備も重要視されています。
M&A促進
M&Aを活用した成長戦略を後押しするため、「中堅・中小グループ化税制」の整備や、のれん償却の見直しが検討されています。さらに、M&Aの手続きの透明化や、統合プロセス(PMI)の支援策も拡充されています。
ガバナンス強化
企業の持続的成長のために、成長ビジョン策定支援やファミリーガバナンス指針の策定が進められています。これにより、経営の透明性を高め、安定した成長基盤を築くことが可能となります。
「中堅・中小大規模成長投資補助金」についてはこちら
「地域未来投資促進税制」に中堅企業枠についてはこちら
中堅企業が申請できる補助金は?
中堅企業が活用できる補助金は次の通りです。
① 中堅・中小大規模成長投資補助金
中堅・中小企業が人手不足を解消し、賃上げと事業規模の拡大を実現するための設備投資を支援する補助金 です。
最大50億円という大きな規模の補助金で、経済産業省が実施しています。
大規模成長投資補助金とは?については、こちらをご覧ください。
② 地域経済循環創造事業交付金(ローカル10,000プロジェクト)
地域経済を支える事業者の成長を後押しするための補助金制度です。総務省が実施しています。
ローカル10,000プロジェクトとは?については、こちらをご覧ください。
まとめ
中堅企業は、日本経済の未来を切り拓く重要な存在です。政府の支援策を活用しながら、各企業が自らの成長戦略を描くことが求められています。
持続可能な成長を実現するために、今こそ中堅企業の飛躍の時です。
