「補助金の公募要領はこう読む!失敗しないために確認すべき10のチェックポイント」

補助金申請を検討する際、「とりあえず書類を書いて出してみよう」と考える方も少なくありません。
しかし、公募要領を読み飛ばしての申請は、採択されないどころか、失格・返還などリスクが非常に高いです。

公募要領には、その補助金の「設計思想」や「ルール」が全て詰まっています。
本記事では、申請前に必ず確認しておくべき10のチェックポイントを、順番にわかりやすく解説します。

① 補助金の目的(制度の趣旨)

「はじめに」「制度の背景」を読み飛ばさないようにしましょう。

なぜこの補助金が用意されているのかを理解することで、事業計画の方向性を合わせられます。

例:「生産性向上」がキーワードなら、単なる設備更新だけでは不十分です。

また、「中小企業成長加速化補助金」の公募要領の冒頭は次のような記載があります。

中小企業成長加速化補助金(1 次公募要領より)

事業の目的を読むと、100億企業を目指すために設備投資を支援する制度だということがわかります。

このように前提をしっかり理解した上で、事業計画書の方向性を決めましょう。

② 補助対象者

自社がそもそも対象かどうかの確認が最優先です

  • 法人・個人・組合・NPOなど、対象は制度ごとに異なります。
  • 資本金・従業員数・所在地などの細かな条件も要チェックしましょう。

たとえば、成長加速化補助金基本要件は次のように記載があります。

① 補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜き)であること。
② 補助金の公募の申請時までに補助事業者の 100 億宣言が 100 億宣言ポータルサイトに公表がされていること。
③ 一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画を策定すること。
(賃上げ実施期間は補助事業終了後3年間)
④ 日本国内において補助事業を実施すること。

投資額が1億円以上 このような要件が、自社が当てはまるかしっかりチェックしましょう。

③ 補助対象事業の範囲

どんな事業が「対象外」とされるかが特に重要。

  • 例:既存事業の拡大はNG/新規性が必要/地域密着型が対象 など
  • 類似の事業内容が「対象外」に記載されていないか、必ず確認を。

④ 補助対象経費の区分

使えるお金、使えないお金をしっかり分けましょう。

  • 機械装置、広告宣伝費、専門家経費などが対象
  • 一方で、人件費、家賃、水道光熱費などは「対象外」のことが多い

例えば、ものづくり補助金の対象外には次のような記載があります。

汎用性があり、目的外使用になり得るものの購入費(ただし、補助事業のみに使用することが明らかなもの
は除く)。
例:事務用のパソコン・プリンタ・文書作成ソフトウェア・タブレット端末・スマートフォン・デジタル複
合機、キュービクル、乗用エレベーター、家具、3D プリンター

このように、補助事業以外で使えそうな汎用性のあるものは対象外となるので注意が必要です。

⑤補助額・補助率・補助上限

自社の事業規模や必要資金に合っているかをチェックしましょう

  • 例:補助率1/2 → 500万円の経費に対して250万円が補助される
  • 上限額は従業員数や加点項目によって変動することも

⑥ 申請スケジュール

締切日、交付決定日、事業期間、報告書提出日などを一覧化して管理しましょう。

  • 締切直前にバタつく申請は、ミスや不備の温床です。
  • 電子申請の場合、申請システムのアカウント取得(例:GビズID)に時間がかかる点も要注意

⑦ 申請方法・提出物一覧

書類不備で「形式不備失格」となるケースも…

  • 提出物のチェックリストは、しっかり確認しましょう。印刷して逐一チェックするとミス防止になります。
  • 押印の有無、ファイル形式(PDF/Word)などの細かい条件にも注意 → たとえば、画像はjpgなどからpdfへの変換が必要な場合があるので要注意です。

⑧ 採択審査の基準

採点基準が明記されていることもある(ものづくり補助金など)

  • 「新規性」「収益性」「実現可能性」など、審査軸を逆算して計画書を書く
  • 曖昧な言い回しではなく、“根拠ある数字”が重要視されることが多い

成長加速化補助金には、「主な審査内容」として①経営力②波及効果③実現可能性としており

各項目の説明をしっかり読んだ上で方針を決めましょう。

⑨ 実績報告・精算時のルール

採択後のトラブルを防ぐためにも事前に確認をしましょう。

  • いつ、どんな書類を出す必要があるか?
  • どんな支払い方法が認められているか?(例:現金NG、振込証拠要)
  • 証拠書類の保存期間(多くは5年間)

⑩ 賃上げ・雇用などの要件

賃上げ要件・雇用維持要件が必須化する傾向に

  • 地域最低賃金+30円など、明確な条件がある場合は特に要注意
  • 未達成の場合は補助金の一部返還対象となることも

最低賃金引き上げについてはこちらをご覧ください。

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まとめ

公募要領は長くて読みにくい…という印象を持つ方も多いですが、しっかりポイントを押さえて読み込むことが採択への近道です。